日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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高濃度のマグネシウムに感受性を示すシロイヌナズナ新規変異株の単離とその特徴
*小田 紘士郎神谷 岳洋藤原 徹
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p. 0968

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抄録
マグネシウム(Mg)は植物の必須元素のひとつである。クロロフィルを構成する成分の一つであり、多様な酵素反応を助ける役割も持つ。我々はMgに対する植物の応答機構を理解する目的で、EMS処理した約2万株のシロイヌナズナM2個体から、通常(1.5 mM)の7~10倍高い濃度のMgを含む培地で通常培地に比べて極端に根の伸長が阻害される変異体を6系統単離した。これらのうち、特に表現型が顕著である2系統においてマッピングを行ったところ、どちらも1番染色体の19.95Mbpから22.05Mbpの間に原因遺伝子があることが判明した。Mg供給源として用いたMgCl2またはMgSO4において表現型に差がなかったことから、表現型はMgによるものである可能性が示唆された。また、カルシウム(Ca)欠乏培地(0.15~0.2 mM Ca)においても野生型に比べて顕著な根の生育阻害を示したことからMgとCaの比が高まると表現型が現れる可能性が考えられる。地上部の元素濃度を測定したところ、Mg、Caとも変異体における濃度が野生型と比べ低かった。今後はさらに詳細なマッピングを行い遺伝子座を特定するとともに、生理実験等を行うことで原因遺伝子の機能を追究していく予定である。
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© 2011 日本植物生理学会
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