抄録
樹木は持続的供給が可能な地上最大のバイオマスとして有用であることから、遺伝子組換え技術を用いた樹木への環境ストレス耐性形質の付与による収量の増大に期待がもたれている。しかしながら、そのような遺伝子組換え樹木の作出例は少なく、また、それらの環境ストレス耐性の評価方法についても十分な検討が行われていない。そこで本研究では、シロイヌナズナにおいて塩や乾燥へのストレス耐性が示されているGolS2、SRK2C遺伝子を過剰発現する形質転換ポプラ(Populus tremula x tremuloides)を作出し、それらの環境ストレス耐性について解析を行った。まずは、作出した形質転換ポプラにおける導入遺伝子の発現解析を行い、発現が高い系統を各5つずつ選抜した。また、後の実験に必要な形質転換ポプラの増殖方法を検討し、市販のジフィーセブンを用いての馴化が有効であることなどを見出した。さらに、環境ストレス耐性評価については塩ストレス条件の検討を行い、無菌状態で生育させたポプラの30 mMのNaClを含む固形培地での発根率を測定すること、ジフィーセブンを用いて馴化したポプラを100~150 mMのNaCl条件で2~3週間処理後、生育状態を観察することとした。加えて、マイクロアレイにより形質転換ポプラの網羅的な遺伝子発現解析を行っており、これらの結果についても報告したい。