日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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穀物の種子発芽;イネ低温発芽性遺伝子の単離
*藤野 賢治
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p. S0025

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抄録
今後の世界人口増加に対し、食料の安定生産を行うことが必要である。イネ、コムギ、トウモロコシの穀物は人類にとって重要な食料であり、その安定生産を可能とする形質の付与は重要な育種目標である。不良環境下での安定した種子発芽を品種に付与することで、安定生産および栽培地域の拡大が行える。本発表では、イネから単離された種子発芽に関する遺伝子qLTG3-1をもとに、コムギ、トウモロコシを含む穀物の種子発芽について考察する。qLTG3-1は低温下で優れた発芽性(低温発芽性)を示す作用力の大きな量的遺伝子座(Quantitative Trait Loci)として同定された。原因遺伝子は機能未知のタンパク質をコードしているが、種子発芽時に胚を覆う組織で特異的な遺伝子発現が認められた。主要穀物はいずれも単子葉植物であるものの、種子の形態は大きく異なっている。qLTG3-1の組織特異的な遺伝子発現および種子発芽時の組織観察から、本遺伝子の種子発芽における役割を推察し、コムギ、トウモロコシとの比較について論じる。
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© 2011 日本植物生理学会
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