日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナナチュラルバリエーションを用いた種子休眠性およびアブシジン酸(ABA)内生量制御機構に関する研究
矢野 亮一軸丸 裕介神谷 勇治*瀬尾 光範
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p. S0024

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抄録
シロイヌナズナのアクセッションCviは、一般に良く使われるCol、Ler等のアクセッションに比べて高い休眠性を示す。Cviの一次休眠は種皮に大きく依存する。すなわち、吸水後に一次休眠しているCviの種皮を取り除くと胚が成長を開始する(発芽する)。吸水種子の低温処理により休眠性が解除されることが知られている。Cviにおいても比較的短期間(数日)の低温処理よって一次休眠が解除されるが、長期(数週間)の吸水低温処理によって二次休眠が誘導された。興味深いことに、この二次休眠種子は種皮を取り除いても胚が成長を開始しないことから、胚自身が休眠性を有していると考えられる。ここでみられる低温による二次休眠の誘導は、アブシジン酸(ABA)生合成阻害剤フルリドン処理により部分的に阻害されたことから、ABAが胚の二次休眠性の誘導に関与している可能性が示された。しかしながら、異なるアクセッションの間で種子休眠性と内生ABA量に相関が見られないことから、種子休眠性は複数の要因の組み合わせによって決定されていると考えられる。種子休眠性の制御と内生ABA量との関連性を明らかにするため、強い胚休眠性を示すとともにABAを高濃度に蓄積するアクセッションを用いたQTL解析を進めている。
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© 2011 日本植物生理学会
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