日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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緑藻におけるCO2輸送機構とゲノム応答
*福澤 秀哉大西 紀和山野 孝志
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p. S0044

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抄録
水中では,栄養源や光が豊富であってもCO2の供給が光合成の律速段階となる.微細藻類は水中で光合成を維持するために独自の「CO2濃縮機構」を獲得した.このCO2濃縮機構は,多くの低CO2誘導性の遺伝子からなるが,これまで細胞膜に局在する無機炭素輸送体は明らかにされていなかった。低CO2誘導性遺伝子のLCI1はLCR1の制御を受け,膜タンパク質をコードする。LCI1を高CO2条件で強制発現すると,光依存的CO2ガス交換活性ならびに無機炭素の取込能が上昇することから,LCI1は,細胞膜局在型の無機炭素輸送体であることが明らかになった(Ohnishi他 Plant Cell 2010)。また,低CO2誘導性遺伝子LCIBは,そのノックダウン株とGFP融合タンパク質の細胞内局在解析により,細胞内でCO2のリサイクルに関わることが示唆された(Yamano他 PCP 2010)。これらの知見をふまえて,CO2濃縮能の強化によるCO2欠乏ストレス耐性ならびに,固定された炭素の有効利用について議論したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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