日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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近縁種間比較ゲノム解析に基づくトリグリセリド高生産海洋珪藻の脂肪酸代謝経路の解析
*田中 剛
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p. S0046

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抄録
近年、微細藻類は次世代バイオ燃料の脂質供給源として改めて注目されるようになっている。当研究室では、海洋微細藻類のカルチャーコレクションよりトリグリセリド高生産株の選出を行ない、60 wt%の脂質含有量を持つ海洋羽状目珪藻Fistulifera sp. JPCC DA0580株を取得した。本研究では、当該株のトリグリセリド高生産性の機構を明らかにすることを目的とし、全ゲノム解析を行った。全ゲノムシークエンスの結果、全ゲノム塩基数が49.7 Mbpであり、他の珪藻株と比較してゲノムサイズが大きいことが示唆された。さらに各培養条件におけるmRNAを調製し、網羅的なシークエンス解析を行うことでゲノム上における機能性遺伝子の同定を行った。これまでに中心目珪藻Thalassiosira pseudonana 及び羽状目珪藻Phaeodactylum tricornutumにおいて全ゲノム解析がなされているが、いずれもトリグリセリド高生産株ではない。そこで、これら珪藻株間の比較ゲノム解析を行ったところ、JPCC DA0580株に特徴的な遺伝子群の絞り込みが可能であった。さらに、トランスクリプトーム解析により、ゲノム上における機能性遺伝子の転写制御機構を解析し、近縁種との脂肪酸代謝経路の比較解析を行った。
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© 2011 日本植物生理学会
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