日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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栄養欠乏に応答した植物細胞内の分解系の解析
*松岡 健
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p. S0057

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抄録
植物は生育場所から移動出来ないため、養分の供給量は環境変化により容易に変動する。植物の栄養欠乏に対する生存戦略としての、初期応答の機構についての解析が現在進められつつあり、その中でも、このような養分不足状態において誘導される細胞内分解系として、オートファジーが知られている。さて我々は、タバコ培養細胞BY-2株をモデルとして用い、Cytb5と赤色蛍光蛋白質(RFP)の融合体が形成する蛍光性細胞内凝集体が、細胞が栄養欠乏になるとオートファジーにより液胞に輸送され分解されることを見出し、この系を用いてオートファジー依存の分解速度を定量する系を開発している (Toyooka K et al., Autophagy 2, 91-106.2006)。次いでこの系を、光依存性蛍光波長変換タンパク質を用いた系に改良することにより、蛋白質の合成と分解を区別して定量することの出来るシステムを開発し、現在亜リン酸を用いてリン酸欠乏と他の栄養素欠乏に依存したオートファジー誘導の解析を進めている。これとは独立に、ゴルジ装置に局在するショ糖輸送体の局在化機構の解析の過程で、糖飢餓に特異的に、トランスゴルジネットワークに局在するこの輸送体が、おそらくオートファジーにより分解されることを見出している。本シンポジウムでは、我々のこれらの最近の解析結果を紹介し、各種の栄養欠乏と細胞内分解系の誘導について議論する。
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© 2011 日本植物生理学会
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