抄録
注意欠如・多動症(ADHD)児とその保護者14例を対象として,保護者のアタッチメント・スタイルが保護者の養育スタイルや抑うつ症状,およびADHD児の自尊感情に与える影響を検討した.子どもの自己認識と保護者の養育行動,うつ状態,アタッチメント・スタイルを測定した結果,保護者のアタッチメント・スタイルにおいて対人関係上の困難さを持つ保護者は抑うつ症状を強く呈し,その子どもの自尊感情は低いことが明らかとなった.また保護者が適度な見守りの中で子どもの意思を尊重し,一貫した態度で接することは子どもの自尊感情を高める可能性が示唆された.以上より,ADHD児の自尊感情を育むためには,保護者のアタッチメント・スタイルが安心型(secure)であることが望ましいことから,ADHD児の親子を支援する際にはアタッチメント・スタイルを考慮した親子の関係性の支援が重要であると考えられた.