小児の精神と神経
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茨城県における小規模調査での小学校通常学級に在籍する自閉症スペクトラム特性を強く持つ児童の概数とその特性─自閉症スペクトラム指数の分析から─
深谷 雅博中山 智博中村 勇岩﨑 信明
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2021 年 61 巻 1 号 p. 63-71

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抄録

当県の小学校通常学級に在籍する自閉症スペクトラム(ASD)特性を強く持つ児の概数とその特徴を調べることを計画した.対象は通常学級に在籍する児童300名であり,自閉症スペクトラム指数日本語版(AQ-J)児童用を用いて調査を実施した.ASD特性を強く持つ児童は11.4%認められた.ASD特性を強く持つ児童群では,合計,社会的スキル,注意の切り替え,コミュニケーション,想像力において,ASD特性を強く持つ児童群の得点が有意に高く,行動面や社会性に差がみられることが明らかとなった.また,因子分析を行ったところ,抽出された項目から第1因子を「メタ認知」と命名し,メタ認知が重要であることが明らかとなった.ASD児・者はメタ認知的な自己認識が脆弱であるといわれており,通常学級に在籍するASD特性を強く持つ児童においても同様の結果が示された.今後調査の規模を拡大していくとともに,児童の支援方法について検討し実践していく必要があると考えられる.

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© 2021 一般社団法人日本小児精神神経学会
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