日本小児放射線学会雑誌
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第56回日本小児放射線学会学術集会“新時代の小児診療,360度の評価をめざして”より
胎児と新生児の骨疾患:診断の決め手となるkey findingの指摘
宮嵜 治
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2021 年 37 巻 1 号 p. 25-33

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要旨

本稿は第56回日本小児放射線学会学術集会シンポジウム「新生児と画像診断」において行った講演内容を抜粋した総説である.骨系統疾患の読影プロセスにおいて単純X線撮影から異常所見を発見する「key findingの指摘」に加え,「pathognomonic finding」という概念を紹介した.“Pathognomonic”という単語は「疾病特徴的」,「ある種の疾患に特異的な徴候,または症状に関係する」という意味である.骨系統疾患が疑われた場合のpathognomonic findingには,1)その所見の疾患特異度が非常に高く,それが固有の診断名と直結する場合と,2)その所見により,固有の診断名の裏付けや後押しとなる場合や,bone dysplasiaグループのなかに複数ある疾患の中から一つに絞り込む場合などのパターンがある.本稿ではpathognomonic findingの実例をこの2つのパターンに分けて解説する.

Abstract

This review article introduces the diagnostic process of skeletal dysplasia in pediatric radiology. The diagnostic process of skeletal dysplasia was established by identification of key findings. Also, recognition of the pathognomonic findings plays an important role in the definite diagnosis of skeletal dysplasia. This article includes four pathognomonic findings as follows: 1) asymmetric appearance of long bones in chondrodysplasia punctata (XLD): Conradi-Hunermann type, 2) Scimiter-like patella calcification in Zellweger syndrome, 3) Wormian bone in osteogenesis imperfecta, 4) Bowdler spur in congenital hypophosphatasia. Among the radiological clues described above, Scimiter-like patella calcification in Zellweger syndrome and Bowdler spur in congenital hypophosphatasia were thought to be pathognomonic findings in the narrow sense. If a pathognomonic finding is found from a skeletal survey, the definite diagnosis might be obtained despite the rarity of the disease. We pediatric radiologists need to know these important clues to make a diagnosis of the specific type of skeletal dysplasia.

はじめに

胎児期から新生児期にかけて診断と治療の対象となる骨軟部疾患は先天異常,炎症性疾患,腫瘍性疾患,代謝性疾患など多岐にわたる.このうち筆者は第56回日本小児放射線学会学術集会シンポジウム「新生児と画像診断」において,骨系統疾患の診断プロセスに的を絞った講演を行った.講演内容を振り返り,本稿でも同一内容を抜粋し記述した.今回の講演では,通常の骨系統疾患の読影プロセスである「key findingの指摘」に加え,「pathognomonic finding 」という概念を紹介した.日常診療ではあまり耳慣れない言葉かもしれないが,英語論文を紐解いている折に遭遇する言葉である.骨系統疾患の診断に限らず,放射線診断医にとっては日常の診断業務の上でも意識すべきtechnical termであると思われる.

Pathognomonic findingとは何か?

本稿の主題である“Pathognomonic”という単語をインターネットの辞書で調べてみると,「疾病特徴的」と記載されている1).「ある種の疾患に特異的な徴候,または症状に関係する」という意味であり本稿の意図を代弁している言葉である.

骨系統疾患が疑われたときのpathognomonic findingには,1)その所見の疾患特異度が非常に高く,それが固有の診断名と直結する場合と,2)その所見により,固有の診断名の裏付けとなる,あるいは診断の後押しとなる場合や,後述のように同一グループのなかに複数ある疾患の亜分類の中から一つに絞り込む場合などのパターンがある.1)は難易度が高く敬遠されがちな骨系統疾患でも,それを知っていればいわば一発クリーンヒットや,ホームランを放つことができるもの,2)は疾患特異性としては高くはなく,複数の疾患でみられる所見だが,その他のkey findingと合せることで診断確定に到達できるものである.

骨系統疾患の頻度と国際分類

骨系統疾患は一疾患単位では,その頻度は少なく,最もよく見られる軟骨無形成症でも26,000出産に1例程度である.しかしこれらのまれな疾患を集結させた場合,骨系統疾患全体では1,000人に1例程度の有病率となり決してまれな疾患ではない2).これはダウン症の発生頻度と同程度と考えられる3)

骨系統疾患には国際分類が存在し,現時点での最新版のNosology and Classification of Genetic Disorder of Bone(2019年版)では461疾患(前回の2015年版では436),42疾患グループ(2015年版で同数),437の原因遺伝子が同定され425疾患(全体の92%)との関連が明らかになっている4).国際分類に記載される疾患は,疾患単位として確立されているものだけなので,実際の疾患数は1,000近いと考えられている2)

骨系統疾患のX線鑑別診断の3つのステップ

実際の骨系統疾患のX線診断には以下の3つのステップがある.1)Key findingとなる異常所見を探し出す,2)探し出した全身の異常所見を組み合わせる,3)Family of bone dysplasiaにあてはめる(上記の新国際分類:Nosology and Classification of Genetic Disorder of Bone/revision 2019では42のbone dysplasiaグループに分類)である4)

以下に筆者が実際に経験したpathognomonic findingの実例を示す.前述した1)疾患特異度が非常に高く,それが固有の診断名と直結する場合と,2)固有の診断名の裏付けや後押しとなる場合の両者について解説する.

診断の決め手となるkey findingの指摘および名称

診断の決め手となるkey findingを紹介する場合,それだけで1冊の教科書の分量に匹敵する容量となる.そのためここでは長管骨遠位の骨変化についてkey findingとその命名,またいくつかの骨系統疾患の命名のセオリーを紹介したい.

骨系統疾患のkey findingはまずどの部位に異常があるかを把握する必要がある.例えば長管骨を例にとると,中央のシャフト部分は骨幹(diaphysis),骨幹の遠位,成長板の手前の部分を骨幹端(metaphysis),さらに成長板より遠位の二次骨化中心を骨端(核)(epiphysis)と呼称する(Fig. 1).

Fig. 1 

長管骨の部位と名称

X線撮影の読影時に必要な長管骨の部位の呼称を示す.骨の中央部分を骨幹(diaphysis),遠位の成長板に接する部分を骨幹端(metaphysis),成長板より遠位の部分を骨端や,骨端核,二次骨化中心(epiphysis)と呼称する.どの部位に異常所見があるかを判断するための解剖学的な認識が大切である.

次に骨系統疾患の異常所見が多数みられる骨端・骨幹端変形の呼称パターンをFig. 2,実例をFig. 3に紹介する.変形が骨端にみられるものを骨端異形成(epiphyseal dysplasia),骨幹端にみられるものを骨幹端異形成(metaphyseal dysplasia),骨端と骨幹端の両方に異常がある場合を骨端骨幹端異形成(epimetaphyseal dysplasia),骨端核に一致した点状の石灰化を点状軟骨石灰化(stippled calcification, punctate calcification)と呼称する.

Fig. 2 

骨端・骨幹端変形の呼称パターン

変形が骨端にみられるものを骨端異形成(epiphyseal dysplasia),骨幹端にみられるものを骨幹端異形成(metaphyseal dysplasia),骨端と骨幹端の両方に異常がある場合を骨端骨幹端異形成(epimetaphyseal dysplasia),骨端核に一致した点状の石灰化を点状軟骨石灰化(stippled calcification, chondrodysplasia punctata)と呼称する.

Fig. 3 

骨端・骨幹端形成異常のパターン

a)大腿骨,脛骨の骨端に一致した変形と低形成があり,骨幹端には変形が目立たない.Multiple epiphyseal dysplasia多発性骨端骨異形成症と診断された.

b)骨幹端の幅が広く変形している.骨端核はその影響を受け,軽度の肥大を認めるが明らかな変形は見られない.Metaphyseal dysplasia骨幹端異形成Schmid型と診断した.

c)骨端は形成不全があり小さく変形している.これに加え骨幹端にも外側に凸のフレアリング変形が見られ,骨棘様の形態を示している.骨端と骨端核の両者の変形がありepimetaphyseal dysplasiaと考えられ,Pseudoachondroplasia偽性軟骨無形成症と診断した.

d)骨端周囲の軟骨に一致して点状の石灰化を認め点状軟骨石灰化(stippled calcification, punctate calcification)と呼称される.

骨系統疾患の命名にはこれらの異常所見の組み合わせで成り立つものも多い.例えば脊椎(spondylo-)の形成異常に加え骨幹端の異形成(epiphyseal dysplasia)を伴う場合,脊椎骨端異形成症(spondyloepiphyseal dysplasia)と命名されている.このように異常所見と存在部位でどのグループの仲間かを判断する.

症例1 軟骨に著明な石灰化を認めた1例

新生児,女児.胎児期に胎児超音波で四肢短縮を認め骨系統疾患が疑われ紹介,当院で出産した.日齢2に全身骨撮影が行われ足関節に一致して点状軟骨石灰化を認めた(Fig. 4a).その他,脛骨,腓骨,大腿骨の近位および遠位骨端核の軟骨にも同様の所見を認めた(Fig. 4b).点状軟骨石灰化を呈する疾患は多く知られている(Table 1)が5),その所見が著明であるため,まずは点状軟骨異形成症(chondrodysplasia punctata)を鑑別診断の第一に考えた.前述の診断ステップの項では1)異常の発見,2)分布の確認,3)骨系統疾患のファミリーに当てはめると,Nosology and Classification of Genetic Disorder of Bone(2019年版)では21番目のChondrodysplasia punctata(CDP)groupと思われる4)

Fig. 4 

症例1 軟骨に著明な石灰化を認めた新生児例

a)右足関節に一致して足根骨や脛骨,腓骨の遠位骨端核に一致して点状の軟骨石灰化が認められる.

b)同様の点状軟骨石灰化を大腿骨近位の骨頭,遠位骨端,脛骨近位骨端などに認める.これらのa,bの所見は点状軟骨石灰化症(CDP)が示唆されるが,CDP groupの中の8つの亜分類のいずれであるかを診断する必要がある.

c)一方下肢の撮影では右側の脛骨と腓骨は左側に比し明らかに短縮が見られる.この片側短縮はCDPの亜分類の中のx染色体優性(XLD)Conradi-Hunermann型のpathognomonic findingである.

d)その後の経過観察で撮影された同症例の5歳時の下肢撮影でも下肢長差は明らかである.

国際分類ではCDPには8つの亜分類が存在しており4),亜分類の診断を可能にする追加所見がないかをもう一度読影をすると,下肢は骨格が非対称性で右側の脛骨,腓骨が左側に比し短いことに気づく(Fig. 4c).この片側短縮はCDPの亜分類の中のx染色体優性(XLD)Conradi-Hunermann型(CDPX2)のpathognomonic findingである.CDPが疑われたときに上下肢の長さの左右差がないかを確認し,もし発見すればCDPのx染色体優性(XLD)Conradi-Hunermann型を強く疑うこととなる5).本例は女児であること,皮膚には魚鱗癬様の皮膚所見を認めることなども含め同診断は妥当と考えた.

症例2 膝蓋骨に特異な点状軟骨石灰化を認めた1例

日齢25の男児.多発外表奇形,心奇形,喉頭軟弱症があり.顕著な頭蓋縫合離開を認め骨系統疾患の可能性が疑われ全身骨精査を行った.

骨盤を観察するとY軟骨に一致した点状軟骨石灰化が認められる(Fig. 5a).また膝関節を観察するとこちらにも点状軟骨石灰化が認められる(Fig. 5b).しかし前述の症例1に比し点状軟骨石灰化の所見は弱く著明ではない.さらに詳細に観察すると膝部の石灰化は大腿骨や脛骨の骨端核としては内側に偏位し不自然であり,膝蓋骨の石灰化と思われる(Fig. 5b).また石灰化を呈している部位も膝蓋骨の内側に限局し三日月状に分布している(Fig. 5b矢印).

Fig. 5 

症例2 膝蓋骨に特異な点状軟骨石灰化を認めた1例

Y軟骨に一致した点状軟骨石灰化が認められる(a).また膝関節を観察すると点状軟骨石灰化が認められる(b).前述の症例1に比し点状軟骨石灰化の所見は弱く著明ではない.

膝部の石灰化は位置より膝蓋骨の石灰化と思われる.また石灰化は膝蓋骨の内側に限局し三日月状に分布している.

前述の点状軟骨石灰化の鑑別診断のTable 1より鑑別診断を考慮するが,膝蓋骨の内側に限局した三日月状の点状軟骨石灰化はScimiter like patella calcificationと呼称されるペルオキシゾーム酵素欠損症であるZellweger症候群のpathognomonic findingと考えられた6).文献的にもScimiter like patella calcificationはZellweger 症候群のpathognomonic findingとして記載,報告されており6),前述の“それを知っていればいわば一発クリーンヒットや,ホームランを放つことができるもの”の一つと考えられる.

Table 1  骨端核点状石灰化の鑑別診断5)
点状軟骨異形成症
Zellweger症候群
GM1 gangliosidosis
Mucolipidosis II型
CHILD症候群
染色体異常(trisomy 21,18,9など)
胎芽症(fetal alcohol症候群,fetal hydration,etc)
Metachondromatosis
Cerebro-cost-mandibular症候群
Clacifying arthritis

症例3 大腿骨彎曲+頭蓋骨のpathognomonic finding

日齢1 胎児USで四肢短縮を指摘(大腿骨長−7SD)されており,骨形成不全症が疑われていた新生児.NICUで撮影されたポータブルの胸腹部撮影では両側の大腿骨の彎曲が目立つ(Fig. 6a).同所見は臨床的に疑われていた骨形成不全症でも認められるが,大腿骨の彎曲の鑑別診断は多岐にわたる.また肋骨は狭細な印象だが,周産期重症~中等症(Sillence分類 II型,III型)に見られる肋骨の多発骨折や太まり,細まりは指摘できない.診断確定のために行われた全身骨撮影で頭蓋骨の人字縫合,矢状縫合に一致したWorm骨(Wormian bone)を認めたため(Fig. 6b, c),骨形成不全症の診断に至った.

Fig. 6 

症例3 新生児大腿骨彎曲と頭蓋骨のpathognomonic finding

日齢1にNICUで撮影されたポータブルの胸腹部撮影では両側の大腿骨の彎曲が目立つ(a).大腿骨の彎曲の鑑別診断は多岐にわたる.また肋骨は狭細な印象だが,肋骨の多発骨折や太まり,細まりは指摘できない.

診断確定のために行われた全身骨撮影で頭蓋骨の人字縫合,矢状縫合に一致したWorm骨(Wormian bone)を認めたため(b, c),骨形成不全症の診断に至った.

Wormian boneは骨形成不全症の約9割に見られるため大腿骨彎曲などを呈する場合に補助的なpathognomonic findingの役割を持つ.

Wormian boneは縫合内の骨化で,文献的には長さ6 mm以上,幅4 mm以上,10個以上のモザイクパターンとして認識できる場合に呼称する7)

Table 2のごとくWormian boneも前述の点状軟骨石灰化と同様に複数の疾患で出現するため8),症例2のZellweger 症候群におけるScimiter like patella calcificationのようなpathognomonic findingではない.しかしWormian boneは骨形成不全症の88%に見られるため7)大腿骨彎曲や多発骨折,易骨折性などを呈する場合に骨形成不全症の診断根拠となり得る補助的なpathognomonic findingと考えられる.

Table 2  Wormian boneの鑑別診断8)
一次性骨化障害(全身性,局所性) 硬化性異形成
 先天性甲状腺機能低下症  Osteopetrosis
 低フォスファターゼ症  Pyknodysostosis
 水頭症  Pachydermoperiostosis
 Sclerostosis
膜性骨化障害(全身性,局所的な結合織異常)  Schwartz-Lelek症候群
 骨形成不全症(I型コラーゲン異常)
 Menkes症候群(銅欠乏に続発するI型コラーゲン異常) その他の奇形症候群,異形成症
 Otopalatodigital症候群(OPD II型)  Zellweger症候群
 Hajdu-Cheney症候群  Chondrodysplasia punctata
 DeBarsy症候群  Metaphyseal chondrodysplasia Jansen型
 Hallermann-Streiff症候群  Prader-Willi症候群
 Progeria  Schinzel-Giedion症候群
 Aplasia cutis congenita(局所性膜性骨化障害)  Robert症候群
 特発性(正常変異)  Down症候群
 Fetal aminopterin症候群

症例4 大腿骨彎曲+骨棘様のpathognomonic finding

在胎29週の胎児,胎児USで長管骨は全体的に短縮(−4~−5SD),彎曲を認めた.胎児骨系統疾患の疑いが疑われたため出生前診断目的で胎児CTが行われた.Volume rendering(Fig. 7a, b)とMIP処理(Fig. 7c, d)された胎児CTの骨格3D表示では症例3と同様に,大腿骨の彎曲を認める.また症例3と同様に肋骨には多発骨折や変形は認めず,典型的な周産期中等症から重症の骨形成不全症ではない.

Fig. 7 

症例4 大腿骨彎曲と骨棘様のpathognomonic finding

在胎29週の胎児.胎児USで長管骨の短縮,彎曲を認めたため,出生前診断目的で胎児CTが行われた.

Volume rendering(a, b)とMIP(c, d)の胎児骨格3DCTで大腿骨の彎曲を認める.脛骨,上腕骨には骨棘様突起を認めた(a~d矢印).同所見は周産期軽症型の低ホスファターゼ症で認めるBowdler spurと呼ばれる所見であると診断した.このBowdler spurは月齢3で行われた単純X線撮影でも認められた(e, f).

一方長管骨に注目すると通常見られない骨幹部の骨棘様突起を認めた(Fig. 7a–d矢印).同所見は周産期軽症型の低ホスファターゼ症で認めるBowdler spurと呼ばれる所見であると判断した9).このBowdler spurは出生後月齢3の単純X線撮影でも認められた(Fig. 7e, f).

Bowdler らによって報告されて以来10),Bowdler spurはほぼ常に低ホスファターゼ症に合併してみられるpathognomonic findingと考えられる11).Oestreichらは骨端の変化がないにもかかわらずBowdler spurのみが認められた低ホスファターゼ症の症例報告をしている12).Bowdler spurが発生する成因はいまだ不明であるがOestreichはそにBowdler spurを認めた症例報告を発表している13).彼はそのetiologyについて低ホスファターゼ症もcamptomelic dysplasiaも大腿骨の彎曲を認めるため,軟骨の成長障害を惹起する何らかの共通の成因の存在を示唆している.

まとめ;提示した4例とpathognomonic finding

以上筆者が経験した骨系統疾患とpathognomonic findingを紹介した.狭義のpathognomonic findingとは疾患特有性が高く,そのX線撮影わずか一枚で診断がついてしまうものと考える.これに該当するのは症例2のZellweger症候群におけるScimiter like patella calcificationと症例4の低ホスファターゼ症におけるBowdler spurと思われる.

これら症例2と4はまれな疾患であり日常診療で遭遇する頻度は低いかと思われるが,その一方症例1と3は遭遇する機会は少なくないと思われる.特に通常の小児医療施設において骨形成不全症の診断を必要とされる場面は多いと思われる.Wormian boneの出現する疾患はTable 2のごとく多岐にわたるが,その他のkey findingと組み合わせることで疾患を絞り込み鑑別診断の上位に挙げることができる.教科書や文献ではpathognomonic findingという記載は少ないため,どの所見がpathognomonic findingかという判断がつきにくい欠点はあるが日常診療での経験を活かし,読影者自身の知識の中でpathognomonic findingを増やしていくよう心掛けたい.

謝辞

稿を終わるにあたり,骨系統疾患の診断に,常に助言やアドバイスを頂いている西村 玄先生に深謝いたします.

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