日本小児放射線学会雑誌
Online ISSN : 2432-4388
Print ISSN : 0918-8487
ISSN-L : 0918-8487
第57回日本小児放射線学会学術集会“こども達の未来が私たちの未来”より
小児急性脳症の臨床・画像最新情報
髙梨 潤一
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2022 年 38 巻 1 号 p. 35-43

詳細
抄録

急性脳症は500–800人/年,0–3歳の乳幼児に最も多く発症し,頻度の高い順にけいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD, 34%),可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎脳症(MERS, 18%),急性壊死性脳症(ANE, 3%)である.AESDは熱性けいれん重積との鑑別が時に困難であるが,早期診断に高b値拡散強調像,ASL,MRスペクトロスコピーの有用性が報告されている.AESDに特徴的なbright tree appearanceは剖検例の検討から肥胖型星状膠細胞増多を反映していると考えられる.MERSは脳梁の可逆性拡散低下を特徴とし,予後良好である.急性巣状細菌性腎炎にしばしばMERSを併発しやすい.家族性MERSの検討からMYRF遺伝子異常が報告され,MERSの病態が髄鞘浮腫であることを示唆する.自己免疫性GFAPアストロサイトパチーは視床後部の対称性病変,側脳室ないし脳梁の線状病変が特徴的である.

著者関連情報
© 2022 日本小児放射線学会
前の記事 次の記事
feedback
Top