日本小児放射線学会雑誌
Online ISSN : 2432-4388
Print ISSN : 0918-8487
ISSN-L : 0918-8487
特集 感染症の画像診断
先天感染症:TORCH症候群と新生児細菌性髄膜炎の画像診断
酒井 美緒 市田 和香子吉留 江吏子高橋 洋人柏木 伸夫西川 正則中西 克之大場 洋富山 憲幸
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2024 年 40 巻 2 号 p. 81-89

詳細
抄録

先天感染症には一般に胎内,周産期の感染が含まれる.TORCH症候群として,先天性トキソプラズマ症,先天性風疹症候群,先天性サイトメガロウイルス感染症,新生児単純ヘルペスウイルス脳炎,先天性HIV感染症や肝炎ウイルスの先天感染がある.他にリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス,ジカウイルスの胎内感染,周産期感染ではヒトパレコウイルス3型,B群溶血性レンサ球菌溶連菌等による中枢神経障害も知られている.

胎内感染では胎児の感染時期で症状・画像所見が異なり,感染時期が早いほど重篤である.脳室拡大,脳実質内の石灰化など共通する画像所見があるが,脳室拡大の原因が水頭症か脳容積減少か,脳内石灰化の部位など疾患により特徴がある.周産期中枢神経感染症は迅速な診断・治療が非常に重要である.確定診断は髄液や血液からの起炎菌検出だが結果に時間を要することもある.画像診断は早期診断の間接的根拠となり,特に拡散強調像を含むMRIは有用である.

著者関連情報
© 2024 日本小児放射線学会
前の記事 次の記事
feedback
Top