2025 年 41 巻 1 号 p. 2-8
小児肝移植は,重篤な肝疾患を持つ子どもたちにとって命を救う重要な医療手段である.1950年代に開始された臓器移植は,1963年,米国デンバーにて初めて小児肝移植が行われたことで新たな展開を見せた.しかし,当初は技術的な困難や免疫抑制の問題から成功率は低かった.その後,サイクロスポリンやタクロリムスといった免疫抑制剤の導入により移植の成功率が向上し,小児肝移植は広く普及するようになった.本論文では,日本における小児肝移植の歴史,現状,課題,そして今後の展望について詳述する.