小児放射線検査は,装置の大きさや検査音,造影剤や放射性医薬品の体内注入といった特性上,心理的不安感を引き起こすことが多く,適切な検査実施が困難になることがある.心理的ストレスに起因した体動は,再検査に伴う放射線被ばくの増大,さらには画像診断の正確性に影響を与える要因ともなり得るため,鎮静剤の使用もしばしば検討される.一方で,鎮静剤使用に伴うリスクも無視できるものではなく,使用にあたって適切な運用・環境整備が求められる.
鎮静をせずに検査を進める方法としては,小児患者の認知発達段階に応じた検査に向けた準備(プレパレーション)を行い,検査への理解を深めることで不安を軽減することが有効である.本論文では,小児放射線診療における心理的ストレス軽減を目指し,プレパレーションを行う上でのポイントや,利用しやすいツールの紹介・解説を行う.