写真測量
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マルチ・スペクトル写真解析
―デジタル処理による森林判定―
寺島 光一郎
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1974 年 13 巻 2 号 p. 9-15

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抄録

マルチ・スペクトル写真解析は, アナログおよびデジタル処理に大別される。
アナログ処理は, 現在, 一般に行なわれている人間観測能力, 判断力を判定の確認, 補正に参加させる方法である。
一方デジタル処理は, バンド別レスポンスをデジタル・データに変換し, 機械的に判定する方法で, 判定の客観性と処理能力の増大を図ることができ, 大量のデータ処理のための基本的な解析方法である。
本報告は, マルチ・スペクトル写真の濃度測定により, 4次元データ (B, G, R, JR) とし, デジタル処理により樹種, 樹高階等の森林判定を行なった実験について述べたものである。
森林判定を対象としたマルチ・スペクトル写真のデジタル処理は, 試みの例が少なく, 技術面での試行錯誤のため, 判定結果は精度的に必ずしも十分でなかった。
判定区分は11項目としたが, 全体の正効率は71%, 61%であり, 森林項目別では広葉樹林の93.4%よりヒノキ人工林の51%の間にあった。ヒノキの判定精度の低下の原因はスギとの交雑に帰因することが多かった。なおスギ (約80%) の径級区分では若干の混同が生じる。
この手法についての検討事項の一つに対象被写体による観測スリットの決定があると予想された。

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© 社団法人 日本写真測量学会
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