抄録
冬期の東京湾において観測した海面から高度5, 000フィートまでの上向放射輝度の鉛直分布データをもとに, 670nmにおける上向放射輝度から全可視域に亘るパスラディアンスを評価する方法につき考察した。
ここでは, 光の減衰に寄与する大気物質は, 空気分子とエーロゾル粒子のみで, ともに散乱物質としてのみ作用するものと仮定し, 吸収物質の寄与は無視した。そして, エーロゾル粒子によるパスラディアンスを評価するうえで必要なパラメータ (エーロゾル量とエーロゾルによるパスラディアンスを結びつける比例定数) を, 観測データから求めた。そののち, この方法によって推定される5, 000フィートでの上向放射輝度を実測値と比較し, ほぼ良好に一致することを認めた。