抄録
ランドサットデータと国土数値情報の土地利用データとを併用して, 地表面の経年変化を抽出するための実験的検討を行った。テスト地域は多摩丘陵西部一帯であり, 使用したデータは1979年に観測されたランドサットMSSデータと国土数値情報の1/10細分区画土地利用メッシュデータファイル (KS-202) である。
ランドサットデータの分類アルゴリズムとして, トレーニングデータセットを自動的に与える方法 (方法-1) と解析者の主観により与える方法 (方法-2) の2種類の方法を試み, テスト地域において5種類の土地利用変化パタンの抽出を行った。現地調査により抽出結果の評価を行った結果, これらの抽出結果はほぼ妥当であることが示された。分類アルゴリズムの中では, 方法-2でユークリッド距離による最短距離法を用いた場合が最良の結果を得たが, 方法-1においても, その方法が機械的で画像データの分類精度自体はかなり低いにもかかわらず, 方法-2による主観的方法とほぼ同等の抽出結果が得られたことは注目に値いする結果である。