写真測量とリモートセンシング
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水稲の生体情報と穀実重量をレッドエッジポジションから推定するためのハイパースペクトルデータ解析
エブリ モハマド秋山 侃川村 健介
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2008 年 47 巻 2 号 p. 4-15

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抄録

インドネシア・ジャワ島で, 水稲個体群のハイパースペクトル反射データの計測を行なって, レッドエッジポジション (REP) と生体情報ならびに穀実重量の関係を解析した。4段階の窒素施肥条件下で栽培した3品種の水稲について, 生育期間を通じて分光反射計測と植物体の採取を行なった。逆ガウシアン法 (IG) と修正直線外挿法 (LE) を用いて, レッドエッジ帯のうち葉身の窒素濃度およびSPAD値, ならびに穀実重量の推定に対して有効なナローバンドを探索した。分光データは5nm間隔にスムージングをかけたのち解析した。反射値の一次微分値についてもREP解析に用いた。解析の結果, 全体的にREPは出穂期に向かっては長波長側に移動し, 出穂後は短波長側に移行した。葉身窒素濃度に関してREP-IG (R2=0.849) はREP-LE (R2=0.767) より高い相関が認められた。一方, SPAD値に対してはREP-LE (R2=0.800) の方がREP-IG (R2=0.731) よりわずかに高かった。さらに穀実重量に対してもREP-LE (R2=0.884) の方がREP-IG (R2=0.847) に勝っていた。以上の結果からREPの移動によって, 迅速かつ正確な水稲生育情報と穀実重量推定が可能で, 圃場管理に有効なことが明らかになった。

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