抄録
本研究は電子書籍におけるモーショングラフィックスの有無による印象の違いを確認するため、まず紙とデジタルそれぞれの雑誌の現状について調査した。既存のモーショングラフィックスを伴う電子雑誌には、多種多用なモーショングラフィックスが用いられ複雑な印象となってしまっているなど、多くの課題が発見された。ユーザーの行動に沿わない設計が、インフォグラフィックスの本来持っている効果を損なう結果となってしまっていた。そこでまず先行する Web での使われ方を参考に比較し、相違点を明らかにしたのちに、ユーザーの行動に沿った設計にするための5つ留意点に着目し、これを最終制作のための意向とした。制作したのちに、さらにモーショングラフィックスの有無での印象の違いを明らかにするべく、デザイン工学科パンフレットの紙媒体のものと、制作したモーショングラフィックスを用いた電子媒体のものを用いて検証実験として SD 法を用いた印象評価実験を実施した。既存の電子雑誌は散漫しており不安な印象となっていたが、制作物は散漫さ、不安さ、親しみにくさ、不明瞭さが減少しており、複雑さを改善できた。