日本惑星科学会秋季講演会予稿集
日本惑星科学会2003年秋季講演会予稿集
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ポスターセッション2 10/9(木)13:30~14:45
原始太陽系星雲でのコンドリュール同士の衝突速度の推定
高田 昌和*香内 晃荒川 政彦
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p. 49

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抄録

 コンドリュールの形成機構を解明するためには,コンドリュール形成時の物理条件をおさえることが重要である.これまでに,加熱温度,加熱時間,冷却速度などは推定されているが,コンドリュールの運動や空間密度に関する情報は少ない.そこで,本研究では複合コンドリュールに着目し,実験的にコンドリュールの変形度合いを調べ,それをもとに天然のコンドリュールの相対運動速度の推定を試みた. 赤外線集中加熱炉内でコンドリュール模擬物質を加熱し(1400-1700度C),グラファイト平面に0.41-0.75 cm/sで衝突させる実験を行った.衝突したコンドリュールはグラファイト平面上で変形して冷却・固結した.衝突変形したコンドリュールの扁平率を測定し,扁平率の衝突速度・加熱温度依存性を調べた. 1600度C以上では,コンドリュールの扁平率は温度と衝突速度に依存することがわかった.扁平率は衝突速度とともに増加し,また,速度が一定の場合,扁平率は温度とともに増加した.1600度C以下では,コンドリュールの扁平率は温度と衝突速度に依存せず一定であった. 以上の結果をもとに,天然の複合コンドリュールの扁平率と,実験で衝突変形したコンドリュールの扁平率を比較して,天然のコンドリュールの衝突速度を推定した.その結果,天然の複合コンドリュールは,温度が1600-1700度Cの場合,0.5-3 m/sの速度で衝突して形成されたことが明らかになった.この結果をもとにコンドリュール生成時のコンドリュールあるいはコンドリュール前駆物質の空間密度を推定すると,10^-3から10^-4 cm^-3であることがわかった.このような大きな空間密度を原始太陽系星雲内で実現することは困難である.

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© 2003 日本惑星科学会
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