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観測によれば、連星を取り囲むようなガス・ダスト円盤(周連星円盤)がみつかっている。このような円盤から惑星が形成される可能性に着目し、微惑星が集積されるための条件を調べた。連星系まわりをめぐる微惑星は、連星に近いほど大きな摂動を受ける。そのため微惑星間の相対速度が大きくなり、脱出速度を越えると集積が不可能となる情況が生じうる。本研究では、連星をめぐる微惑星の運動を数値計算し、微惑星の速度分散が脱出速度を越える最遠の軌道長半径を明らかにした。数値計算の結果、連星間距離を1AU、連星の離心率を0.1とした場合、連星の重心から13AU以内の領域では、集積の妨げられることが分かった。また、微惑星が合体成長可能な外側領域において、励起される微惑星離心率の解析的表式を得た。