日本惑星科学会秋季講演会予稿集
日本惑星科学会2003年秋季講演会予稿集
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ポスターセッション2 10/9(木)13:30~14:45
SELENE Rstar/Vstarと月重力場観測機器の地上試験結果
*岩田 隆浩佐々木 健並木 則幸花田 英夫河野 裕介浅利 一善野田 寛大河野 宣之高野 忠
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p. 53

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抄録
 SELENEでは、リレー衛星中継器(RSAT)による月裏側の軌道の4ウェイドプラ観測と、相対VLBI用衛星電波源(VRAD)を用いた多周波相対VLBI観測により、月重力場の高精度かつ全球マッピングを行う。本講演では、RSAT、VRAD、及びこれらの観測機器が搭載されるSELENEの小型衛星Rstar/Vstarの開発における、地上試験の成果を報告する。 Rstar/Vstarは、測月観測に特化したスピン衛星であり、主衛星からの分離とスピン印加には新規開発した伸展バネ式の軽量型分離機構を用いる。分離特性が衛星姿勢を決定することから、重力キャンセル装置を用いた地上分離試験による設計の最適化が行われた(ex. 岩田他、2001年度惑星科学会講演会)。これに続いて今回、分離機構の開発モデルをピギーバック衛星μ-Lab Satの分離に用いて、軌道上での分離特性の実証を行い、Rstar/Vstarの軌道上性能予測に反映した。 Rstar/Vstarの姿勢変動要因として、短期成分には、機軸と慣性主軸のずれによるアンテナ位相中心の回転と、分離時チップオフに起因するニューテ_-_ションがある。慣性主軸のずれの量は構造試験モデルを用いた質量特性計測に基づいて設計し、分離時チップオフは先述の分離特性試験から最大値を推定した。一方、姿勢変動の長期成分には、太陽輻射圧と重力場傾斜による姿勢の倒れがある。衛星に搭載される垂直ダイポールアンテナに対する太陽輻射の影響が大きいことから、これをキャンセルするフレア構造を取り付けることとした。このフレア構造はアンテナのビームパターンに制約を与え、重力場カバレッジに影響するため、模擬構体を用いたパターン測定と姿勢解析からアンテナ形状を最適化した。 以上の地上試験結果の設計への反映によって、RSATによる月裏側のフルマッピングによる重力場展開係数の高次項のKaula則に拠らない決定と、VRADによる同低次項の精測が可能であることが確認され、月重力場モデルLP165を改善して月の内部構造の解明に寄与することが期待される。
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© 2003 日本惑星科学会
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