抄録
近年のISOの観測により、多数のAGB星、YSO等の星周大気に結晶性のシリケイトが観測されている。Sogawa&Kozasa(1999)によれば、アルミナ微粒子上に不均質凝縮したアモルファスシリケイトがアニリングを受けることで結晶化したと謂う。このときの結晶化温度はHallenbeck(1998)によるシリケイト超微粒子のアニリング実験を基にしたものであり、超微粒子同士が合体することによる表面エネルギーの節約が結晶化の原動力と推察されている。しかし、アルミナコアーシリケイトマントル粒子が形成されるならば、アルミナによる触媒効果や表面エネルギーの変化が起こることが予想される。そこで今回、ゲル化法によって500nm大のアルミナ粒子上にエンスタタイト組成のアモルファス珪酸塩を凝縮させ、アニリングを行った。その結果、アルミナのコアが存在すると結晶化温度が大きく上昇することがわかった。発表では、赤外吸収スペクトルの測定と電子顕微鏡観察の結果を提示し、結晶化の反応の詳細について議論する予定である。