埼玉理学療法
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総説
痛みに対する理学療法
~徒手療法の観点から~
江口 英範
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1995 年 3 巻 1 号 p. 3-9

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抄録
徒手療法は,関節のマニピュレーションやモビリゼーションだけでなく軟部組織に対するアプローチをも含んでいる。関節マニピュレーションと関節モビリゼーションは,欧米においても明確に分けられていないが,一般的に前者は,制限関節の可動範囲を越えて短時間に強い力を加えるような徒手的手技であり,後者は,関節の制限域内で低速度の他動的な動きを加える手技ととらえられている。本邦におけるAKAは,対象を滑膜関節のみに限定,脊椎々間関節においては単関節(1分節)治療とし,短時間に突発的な力を加える手技を排除して,ゆっくりとした関節可動範囲内での動きを行う手技であり,関節モビリゼーションの一部である。マイオセラピーは,筋筋膜疼痛症候群の中の軟治性である筋硬結に対する治療法であり,軟部組織(特に筋)に対する徒手的手技である。痛みの再発を繰り返す慢性的な疼痛患者に対しては,局所的な治療法であるAKAやマイオセラピーに加え,全身的でダイナミックな運動療法を併用する必要性が示唆される。
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© 1995 社団法人 埼玉県理学療法士会
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