抄録
社会復帰を困難とする要因には社会適応の問題が大きく関与していると考える。そこで我々は社会適応障害患者を対象とした集団療法を行っている。今回,頭部外傷により社会適応障害を呈し,通過症候群の症例において,NOSIEとKAS-Rを使用し退院時と退院2ヶ月半後の評価を行った。結果はKAS-Rは満点となったが,NOSIEは満点とはならなかった。これはKAS-Rは病的要素の強い質問構成であるのに比べ,NOSIEは人格的な質問構成であることが大きく影響しており,健常者を含めた適応能力の幅広い評価が可能であることが示唆された。