本研究の目的はパーキンソン病患者の全身持久性を測定することと,疾病の重症度および日常生活動作能力と全身持久性の関係を明らかにすることである。パーキンソン病患者9名(男性4名,女性5名),平均年齢67.2歳,Yahrステージ1から3の者を対象とした。事前にトレッドミル歩行を練習した上で,トレッドミルの速度を速め下肢の振り出しが遅れ出す速度(最大負荷速度)を調べた。負荷速度は最大負荷速度を5等分し負荷強度が5段階目で最大負荷速度になるよう配慮した。次に,5分間の安静座位の後,トレッドミルを5段階の速度にして,それぞれ3分間の歩行を行った。その間の酸素摂取量と心拍数を呼気ガス分析装置と心電図モニターで測定した。最大酸素摂取量の平均は15.5 ml/min/kgであり,これは6.6METSに相当した。Yahrステージ別の平均最大酸素摂取量は,ステージIが16.4,ステージIIは15.9,ステージIIIは13.1 ml/min/kgであった。Barthel Index得点別の最大酸素摂取量では,得点91から100点が16.7,81から90点が15.0,71から80点が13.1 ml/min/kg であった。本研究の結果,パーキンソン病患者の最大酸素摂取量は低値であり,全身持久性を向上あるいは維持するための運動処方の必要性が明らかとなった。
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