埼玉理学療法
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ISSN-L : 1348-0294
5 巻, 1 号
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論説
解説
研究と報告
  • -連続水平動揺刺激による重心動揺-
    梶原 良之, 川崎 孝晃, 福島 豊, 阿部 薫, 石神 重信
    原稿種別: 研究と報告
    1997 年5 巻1 号 p. 14-18
    発行日: 1997年
    公開日: 2003/07/30
    ジャーナル フリー
    健常者と脳卒中片麻痺患者の動的バランス機能を,独自に開発した動的姿勢解析システムを用いて評価し,出力された足圧中心前後成分について周波数分析を行い比較検討した。その結果,健常者では低周波数帯域と刺激強度に準じた位置にスペクトラムのパワーが見られたのに対して,脳卒中片麻痺患者では麻痺が重度な者ほど患側でのスペクトラムのパワーが見られず,健側においては低周波数帯域と刺激強度の等倍数に沿ってパワーが見られた。このことから,麻痺が重度な脳卒中片麻痺患者の患側はバランス保持に関与せず,それを補う形で健側には予測性制御によるバランス保持作用が働いている事が示唆された。
  • 安藤 正志, 小坂 健二, 小山 紀子, 丸木 雄一, 野寺 誠, 柳澤 裕之, 和田 攻
    原稿種別: 研究と報告
    1997 年5 巻1 号 p. 19-22
    発行日: 1997年
    公開日: 2003/07/30
    ジャーナル フリー
    本研究の目的はパーキンソン病患者の全身持久性を測定することと,疾病の重症度および日常生活動作能力と全身持久性の関係を明らかにすることである。パーキンソン病患者9名(男性4名,女性5名),平均年齢67.2歳,Yahrステージ1から3の者を対象とした。事前にトレッドミル歩行を練習した上で,トレッドミルの速度を速め下肢の振り出しが遅れ出す速度(最大負荷速度)を調べた。負荷速度は最大負荷速度を5等分し負荷強度が5段階目で最大負荷速度になるよう配慮した。次に,5分間の安静座位の後,トレッドミルを5段階の速度にして,それぞれ3分間の歩行を行った。その間の酸素摂取量と心拍数を呼気ガス分析装置と心電図モニターで測定した。最大酸素摂取量の平均は15.5 ml/min/kgであり,これは6.6METSに相当した。Yahrステージ別の平均最大酸素摂取量は,ステージIが16.4,ステージIIは15.9,ステージIIIは13.1 ml/min/kgであった。Barthel Index得点別の最大酸素摂取量では,得点91から100点が16.7,81から90点が15.0,71から80点が13.1 ml/min/kg であった。本研究の結果,パーキンソン病患者の最大酸素摂取量は低値であり,全身持久性を向上あるいは維持するための運動処方の必要性が明らかとなった。
  • -頭部外傷の1症例によるNOSIE,KAS-Rの比較-
    青木 正, 佐々木 和人, 渡辺 彰, 米田 光宏, 荻野 雅史, 鈴木 康子, 真壁 澄江, 増田 正和, 鈴木 英二
    原稿種別: 研究と報告
    1997 年5 巻1 号 p. 23-27
    発行日: 1997年
    公開日: 2003/07/30
    ジャーナル フリー
    社会復帰を困難とする要因には社会適応の問題が大きく関与していると考える。そこで我々は社会適応障害患者を対象とした集団療法を行っている。今回,頭部外傷により社会適応障害を呈し,通過症候群の症例において,NOSIEとKAS-Rを使用し退院時と退院2ヶ月半後の評価を行った。結果はKAS-Rは満点となったが,NOSIEは満点とはならなかった。これはKAS-Rは病的要素の強い質問構成であるのに比べ,NOSIEは人格的な質問構成であることが大きく影響しており,健常者を含めた適応能力の幅広い評価が可能であることが示唆された。
  • -機能的自立度評価法FIMを用いて-
    中野 克己, 今井 基次, 辻 哲也, 里宇 明元
    原稿種別: 研究と報告
    1997 年5 巻1 号 p. 28-31
    発行日: 1997年
    公開日: 2003/07/30
    ジャーナル フリー
    代表的なADL評価法の1つである機能的自立度評価法(FIM)を用いて,移動能力が他のADL項目とどのように関わっているのかを検討した。対象は,リハビリテーション科に入院していた73名。本研究では,FIMを1)セルフケア,2)排泄コントロール,3)移乗,4)移動,5)コミュニケーション,6)社会的認知の6つの大項目にまとめ指標に用いた。その結果,FIM総得点のうち,移乗・移動の合計は27%を占め,運動項目全体では72%を占めていた。そして入院中の得点向上率は,移乗13%,移動16%と6大項目中の上位2つを占めていた。またFIMは,主成分分析の結果,運動能力因子及び認知能力因子の2因子構造からなり,移乗・移動の大項目は,他の運動項目との間に高い相関を示したが,認知項目とは,低い相関を示した。以上より移動・移乗の大項目は,運動項目を通じてFIM総得点に深く関わっているが,認知項目との関与は少なく,他職種との連携がより要求されることが示唆された。
  • -重錘バンド訓練の動作分析を通して-
    金子 純一朗, 前園 徹, 嵯峨 真季, 望月 忍, 井之上 直子
    原稿種別: 研究と報告
    1997 年5 巻1 号 p. 32-35
    発行日: 1997年
    公開日: 2003/07/30
    ジャーナル フリー
    運動失調症状を呈した本症例に,重錘バンド訓練の継続の是非を動作分析を通して検討した。動作分析は,右上肢の動きを3点のポイントから角速度で検討した。方法は端座位でテーブルのスプーンとコップに触れる過程とした。重りは0.3・0.4・0.5・1.0 kgの重錘バンドを使用し,重錘バンドの重りは前腕の遠位端に装着した。t検定にて統計処理した結果(n=27)から,目標物の大きさを含めた「目的とする動作」に着目すべきではないかと推察した。
  • 山崎 直美, 今井 基次
    原稿種別: 研究と報告
    1997 年5 巻1 号 p. 36-39
    発行日: 1997年
    公開日: 2003/07/30
    ジャーナル フリー
    リハビリテーションセンターにおける理学療法の流れを,脳血管障害患者の症例を通して報告する。症例は在宅生活での留守番を目標に入院し,それに対しトランスファー・トイレ動作の自立が不可欠であった。機能回復に変化が見られたため,初期には機能訓練を中心に生活動作をつなげていった。徐々に機能回復と高次脳機能を含め,実生活での生活を想定した生活訓練に変えていった。その間には,装具,車椅子,家族指導,家屋改造,棟内訓練に関与し,環境・動作面にてできるだけ具体的な生活像を想定するようにしている。症例の主目標に向け全人的にアプローチをすることは当たり前のことであるが,難しいことである。その時期にどう関わるか,常に考える必要性を感じる。
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