抄録
昭和57年から平成10年の17年間に埼玉県内で更生相談を通じて作製された装具の作製数と種類の推移、及び平成7年4月から平成11年3月までの4年間に、当センター入院患者に対して作製された下肢装具作製数の推移を調査し、検討を行った。その結果、埼玉県内において体幹装具、膝装具などほとんどの装具では増減が見られなかったが、短下肢装具のみ著明に増加していた。これは障害者の生活ニーズの中でも、特に歩行ニーズの高まりを示唆しており、障害者がリハビリテーションサービスを受ける機会が増加したことや生活環境のバリアフリー化が進められてきたことなども影響していると考えられる。また当センター入院患者では、SHBとオルトップAFOの作製数が増加していたのに対して、金属支柱付きSLBの作製数が著明に減少していた。このことは、在宅生活を送る上では、歩行ニーズのみならず、装具に対して、軽量化、美観、機能などよりきめ細かいニーズがあり、装具の特質や使用方法の工夫などが結果として、SHBの作製数増加につながったと考えられる。