埼玉理学療法
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7 巻, 1 号
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講座
研究と報告
  • 清水 智英子, 富井 豊人, 倉島 謙吾, 亀田 美保, 三浦 ひろ子, 武井 明子, 錦貫 佳代子, 半田 健壽
    原稿種別: 研究と報告
    2000 年7 巻1 号 p. 22-27
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/07/29
    ジャーナル フリー
    15~78歳の健常者89名を対象に、30 cmの長さの水平線を二等分し、かつ水平線に垂直に (1)マグネットスティックを貼り付けるスティックテストと、(2)実際に鉛筆で直線を描く垂線描画テストを実施し、等分定位及び垂直定位について10歳ごとに区切った年代別標準値を調べ、更に二つのテストの相違について検討した。分析には全例10回ずつ行なった各テストでの890データを使用した。結果は、二等分位からの偏位(左への偏位を-、右への偏位を+)がスティックテストで平均-0.4±0.44 cm、垂線描画テストで平均-0.3±0.61 cmであった。左内角の垂直位からの偏位(90度より鋭角に偏位を-、鈍角に偏位を+)は、スティックテストで平均-0.1±0.33度、垂線描画テストで平均-0.1±1.20度であった。各テストでの二等分位からの偏位及び垂直位からの偏位は各々正規分布を示し、偏位の平均値は非常に小さな値を示した。健常者では年代による影響を受けず、等分定位、垂直定位が可能であった。
  • 染谷 光一, 立山 よ志子, 谷口 誓子, 富張 勝則, 長谷 晶子, 後藤 慎一
    原稿種別: 研究と報告
    2000 年7 巻1 号 p. 28-33
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/07/29
    ジャーナル フリー
    今回、抜管後に高炭酸ガス血症を呈した症例に対し呼吸理学療法を経験した。対象は、年齢:平均72.6±1.6歳。男性4名、女性1名。年齢・性別・診断名(基礎疾患含む)・検査項目等を入院カルテから後方視的に調査した。抜管後の動脈血液ガスは、抜管前のPaCO2 52.54±10.4 mmHgに対し、抜管直後は66.38±11.7 mmHgと高炭酸ガス血症へと傾き、症例によっては最大96.5 mmHgと上昇を認めた。しかしその後減少傾向を認めRPT終了時では56.02±6.2 mmHgとなった。今回の症例における抜管後にPaCO2が上昇した理由は、低肺機能、基礎疾患、合併症の影響による換気能力の低下、そしてこれら問題点における運動制限が推察された。そのため病態の安定を確認後、全身運動を伴う運動療法を施行していくことで高炭酸ガス血症の是正をはかった。運動療法により炭酸ガスが減少した理由として1)全身運動による換気の促進、2)体位変換位における換気血流比の改善、3)中枢性肺胞低換気の改善、4)呼吸筋・四肢筋群の廃用性の改善等が考えられた。
  • 中村 信義, 解良 武士, 大村 陽子, 田口 直枝, 平山 厚子, 三和 真人
    原稿種別: 研究と報告
    2000 年7 巻1 号 p. 34-40
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/07/29
    ジャーナル フリー
    本研究は、起き上がり、立ち上がり、歩行といった動作訓練場面において理学療法士が用いている操作的介助、すなわちハンドリングが、平衡機能訓練におよぼす影響を重心動揺から検討したものである。健常者10名を対象に、閉眼片足立ちを課題とし、支持脚の対側上肢よりハンドリングを施して訓練を行った“ハンドリング群”と、ハンドリング無しで訓練を行った“コントロール群”で、短期訓練、長期訓練後の2つの訓練効果を群内で比較した。その結果両群とも短期訓練後、長期訓練後ともに重心動揺は減少し訓練効果が見られた。重心動揺周波数分析の結果、両群とも重心動揺波形の徐波化がみとめられ、左右方向、2~5 Hzの周波数帯域のパワーの減少が特徴的にみられた。長期訓練後、コントロール群では左右方向、0.5~1 Hzの帯域で、ハンドリング群では同様に0.2~0.5 Hzの帯域でパワーが有意に増大した。この違いは、主体となる姿勢調節戦略の違いを反映するものであろうと考えられた。ハンドリングによる上肢からの体性感覚入力は主に頭部、体幹の立ち直りを利用した「迷路性姿勢制御」の向上を促通し得るものと考えられた。
  • 丸岡 弘, 窪田 幸生, 柳澤 千香子, 押見 雅義, 加子 恵, 小仲 良平, 洲川 明久, 久保田 章仁
    原稿種別: 研究と報告
    2000 年7 巻1 号 p. 41-46
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/07/29
    ジャーナル フリー
    心臓リハビリテーションにおける2週間プログラム(2 weeks exercise: 2 wex)または3週間プログラム(3 weeks exercise: 3 wex)の同一負荷内容における運動強度を比較し、両プログラムによる運動強度の違いについて検討することを目的とした。プログラムは、ベッド上受動坐位から開始して、立位、歩行、階段昇降の順で段階的に動作範囲を拡大する様に規定している。急性心筋梗塞患者122例(全て男性)を対象にして、負荷中の酸素摂取量や収縮期血圧、および心拍数を測定し、次の結果を得た。2 wexまたは3 wex実施中の代謝当量は、階段昇降負荷において有意差が認められた。また2 wexまたは3 wex実施中の二重積と収縮期血圧は、50 m負荷と300 m負荷において有意差が認められた。心肺運動負荷試験における無酸素性作業域値(anaerobic threshold: AT)と最高酸素摂取量においては、2 wexまたは3 wexの期間の違いによる有意差が認められなかった。以上の結果から、両プログラムによる運動強度の違いは、代謝当量では階段昇降負荷において差を生じ易く、また二重積や収縮期血圧では50 m負荷と300 m負荷において差を生じ易いことが示された。
  • 株木 慈郎, 今井 基次, 中野 克己
    原稿種別: 研究と報告
    2000 年7 巻1 号 p. 47-52
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/07/29
    ジャーナル フリー
    昭和57年から平成10年の17年間に埼玉県内で更生相談を通じて作製された装具の作製数と種類の推移、及び平成7年4月から平成11年3月までの4年間に、当センター入院患者に対して作製された下肢装具作製数の推移を調査し、検討を行った。その結果、埼玉県内において体幹装具、膝装具などほとんどの装具では増減が見られなかったが、短下肢装具のみ著明に増加していた。これは障害者の生活ニーズの中でも、特に歩行ニーズの高まりを示唆しており、障害者がリハビリテーションサービスを受ける機会が増加したことや生活環境のバリアフリー化が進められてきたことなども影響していると考えられる。また当センター入院患者では、SHBとオルトップAFOの作製数が増加していたのに対して、金属支柱付きSLBの作製数が著明に減少していた。このことは、在宅生活を送る上では、歩行ニーズのみならず、装具に対して、軽量化、美観、機能などよりきめ細かいニーズがあり、装具の特質や使用方法の工夫などが結果として、SHBの作製数増加につながったと考えられる。
  • 柳下 浩美, 関 勝夫
    原稿種別: 研究と報告
    2000 年7 巻1 号 p. 53-56
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/07/29
    ジャーナル フリー
    埼玉医科大学短期大学理学療法学科(以下本学科)に1997、1998年の両年度に送付されてきた理学療法士の求人票を基に種類別、地域別、初任給に分類し現状を調査した。その結果、種類別では病院からの求人が全体の65%以上であった。地域別では関東地域からの求人が全体の50%以上であった。初任給別でみると全体の70%以上が15万から25万円の初任給であった。
  • 古澤 浩生
    原稿種別: 研究と報告
    2000 年7 巻1 号 p. 57-61
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/07/29
    ジャーナル フリー
    今回、発症から約1カ月の左片麻痺患者の理学療法において、ボディーイメージの認知という側面から患者像を捉え治療を行った。成人片麻痺の本態は脳の両側統合障害であり、二分割された左右半身から異なった感覚が脳に入力されるため患者のボディーイメージは混乱に陥り、外部環境への適応を阻害しているものと仮説した。結果として歩行の自立及び自己管理能力に改善を認め、外部環境への適応を促すことができた。運動療法の中で、ボディーイメージの認知は感覚-運動経験学習に重要であり、包括的にアプローチすることが必要である。
  • 藤縄 理, 森川 美紀, 森永 昌枝, 久保田 章二, 井上 和久, 植松 光俊, 溝呂木 忠, 江原 皓吉, 細田 多穂, 有川 功
    原稿種別: 研究と報告
    2000 年7 巻1 号 p. 62-68
    発行日: 2000年
    公開日: 2003/07/29
    ジャーナル フリー
    Butlerらは神経組織の可動性障害に対する検査・治療方法として、神経緊張検査と神経系のモビライゼーションを提唱している。また、我々は筋筋膜機能異常による疼痛に対して、非伸縮性粘着テープ(以下テープ)を実施してその効果を経験してきている。そこで上肢の痛みやしびれを訴えた患者にButlerらの方法で上肢の神経緊張検査を行い、陽性所見が出た患者のうち鑑別評価により筋筋膜機能異常による神経絞扼症状と考えられた患者5名にテープを施行した。テープは機能異常を呈していた筋の皮膚上に2~4 mm幅のテープを格子状に張り付けた。その後、直ちに再度神経緊張検査を実施してテープが検査所見に及ぼす影響を評価した。その結果、全ての患者で神経緊張検査所見が改善した。テープによる皮膚や筋、関節からの刺激が、機能異常を起こしていた筋の緊張を低下させ、その結果、神経絞扼症状が改善したものと考えられる。
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