日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第8回 日本予防理学療法学会学術大会
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介護・転倒の予防4
大学生における運動習慣の実態調査 ~コロナウイルス感染症第3波を迎えて~
重國 宏次富田 義人加藤 剛平
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p. 122

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抄録

【はじめに、目的】

2018年のスポーツ庁による調査によると,週1日以上運動・スポーツをする成人の割合は55.1%であり各年代において増加傾向であるとしている。2020年4月以降コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言などの外出自粛生活がどのように運動習慣に影響しているかは不明確である。そこで本研究では,コロナ禍での大学生における運動習慣の実態および運動・スポーツに対する意識について調査し,大学生の運動の習慣化に向けた対策を検討するための基礎資料を得ることを目的とした。

【方法】

調査期間は2021年3月1日から4月15日。対象者は理学療法士養成学科の大学生49名(男性55.1%, 女性44.9%)で,大学生における運動・スポーツに関する実態アンケートを作成し自己記入法により評価した。アンケートは,67名に依頼し49名の回答を得た(回収率73.1%)。

【結果】

2020年以降コロナウイルス感染症感染予防に対する緊急事態宣言が発令され運動量が減少した(73.5%),変わらない(22.4%),増加した(4.1%)。現在,週1回以上運動・スポーツをしているかに対しては,はい(53.1%),いいえ(46.9%)であり運動習慣者を「運動を週2回以上,1回30分以上,1年以上継続して実施している者」と定義した場合,あなたは運動習慣者であるかに対しては,はい(28.6%),いいえ(71.4%)であった。現在運動不足を感じるかについては,大いに感じる(61.2%),ある程度感じる(24.5%),あまり感じない(14.3%),ほとんど感じない(0%)であった。

【結論】

新型コロナウイルス感染症拡大により,73.2%の学生が運動量の減少を自覚している。しかしながら運動の習慣化までには至っていない状況が示された。若年層において十分な運動の習慣化が定着していない現状は,その後の身体活動量や体力の低下と深く関連し,生活習慣病やメタボリックシンドロームの発症に大きく影響する可能性が考えられる。特に高齢期ではサルコペニアの発症が高まり,筋力低下は転倒による寝たきりにつながることが問題視されている。それゆえ,高齢化が進む本邦において,若年世代から運動の習慣化および体力を高めておくことは,健康長寿社会を実現させる点からも重要な課題である。完成予防対策を十分に実施した上で,サークル・部活動を通した運動の習慣化がの望まれる。

【倫理的配慮、説明と同意】

本研究は,東京保健医療専門職大学倫理審査委員会の承認を得て行った。

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