日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第8回 日本予防理学療法学会学術大会
会議情報

高齢者の栄養管理
当院リハビリテーション科における栄養評価・介入システムとその運用方法について
折内 英則鈴木 大輔木村 健太室井 宏育
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 30

詳細
抄録

【はじめに、目的】

近年、リハビリテーション対象者に対する栄養評価やリハビリテーションと栄養を組み合わせた介入の重要性について検討が行われることが増えてきている。しかし、一方で、医療機関や地域におけるリハビリテーション対象者に対する栄養評価と介入を実践する場面で苦慮する場合が少なくない。当院は脳神経外科、整形外科など34診療科から成る急性期総合病院(461床)である。当院リハビリテーション科(以下、当院リハ科)では、2011年から、多職種で構成されている当院NST委員会と連携して、リハビリNSTチーム(以下、リハNST)を設置している。リハビリテーション栄養学会が提唱するリハビリテーション栄養(以下、リハ栄養)ケアプロセスなどの栄養評価・介入方法の啓蒙活動やリハ栄養の実践システムの運用方法等について以下に報告する。

【方法・結果】

当院リハ科では、「脳神経外科」「神経内科」「整形外科」「外科」「循環器」の5つの班から構成されており、理学療法士・作業療法士合わせて計73名のスタッフで構成されている。当科には5名のNST委員会スタッフと各班に1名ずつリハNSTリンススタッフと呼ばれる栄養評価や介入をサポートするスタッフが配置されている。当院で毎週1回開催されているNST多職種カンファレンスではNST委員会へ介入依頼のあった対象者のリハ科スタッフによる評価シートを提出し、ADL能力や生活ゴール、運動機能、運動負荷量等の情報を提供し、カンファレンスでの検討資料として活用している。また、リハ科スタッフからみた栄養リスクを有している対象者の抽出と早期介入を目的とした「リハビリNST栄養リスク者拾い上げシート」を毎週1回の頻度でリハ科所属のNST委員に提出され、対象者の栄養評価と介入の検討を行っている。拾い上げシートで抽出された対象者は必要性に応じて、NST多職種カンファレンスでも検討され、随時、その内容が更新される。この運用システムを開始した当初と比較すると、リハ科スタッフが対象者の体重の変化や、食事摂取量など栄養評価項目にも注意を向け、栄養リスクを有した対象者の抽出される頻度が増加している。

【結論】

臨床場面では、リハビリテーション対象者が低栄養を始めとする栄養リスクを有している場合を多く経験するが、リハビリテーション栄養を実践していくには、スタッフ各々が栄養面へ着眼するだけでなく、それを共有し、複数のスタッフで検討ができることが重要である。また、その評価と介入が日常的に実践できるシステムの構築と見直しを繰り返し、スタッフが運用しやすく、また、対象者へより効果的に機能させる方法を検討し続けることも必要であると思われる。

【倫理的配慮、説明と同意】

個人が特定される情報等に関して配慮されており当科責任者に承認を得ている。

著者関連情報
© 2022 日本予防理学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top