日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第9回 日本予防理学療法学会学術大会
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サルコペニア予防
MSP要支援および要介護高齢者におけるサルコペニアの有無によるHRQOLの差異
藤岡 浩司北村 匡大松田 浩昭岡村 総一郎
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キーワード: 要介護, サルコペニア, HRQOL
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p. 46

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抄録

【はじめに、目的】

高齢化に伴う要介護認定者の増加は、社会的な問題であり、身体機能は、自立支援および重症化予防の観点より有用な指標である(Shinkai,2000)。また、加齢に伴うサルコペニアの有病率増加が知られており、転倒・骨折等、活動量低下は要介護状態に陥りやすく、サルコペニアの把握、その介入は重要な課題となっている(Beaudet、2017)。さらに、高齢者の目標である健康関連の生活の質(HRQOL)の重要性が注目されている(世界保健機関, 2009)。しかし、要支援・要介護認定者におけるサルコペニア有無によるHRQOLの差異は不明であった。本研究の目的は、要支援・要介護高齢者のサルコペニア有無によるHRQOLの差異について明らかにすることである。

【方法】

デザインは、横断研究である。対象は、2018年11月から2019年6 月の間、デイサービス1施設にてリハビリテーションを受けた連続利用者101名である。取り込み基準は、65歳以上、補助具使用に歩行可能な者である。除外基準は、四肢骨格筋量(Skeletal muscle mass index,SMI)等のデータ欠損者、重度認知機能低下者である。調査・測定項目は、年齢、性、要介護度、併存疾患、身体組成、身体機能(握力、片脚立位時間、歩行速度)、EuroQol 5-dimension3-level(EQ-5D-3L)である。サルコペニアの選別は、Asian working group for sarcopenia(AWGS)の基準により、握力(男性28.0kg以下、女性18.0kg以下)、通常歩行速度(1.0m/秒以下)のいずれかまたは両方かつSMI(男性7kg/m2以下、女性5.7kg/m2以下)に該当する場合をサルコペ二ア群とした。統計学的手法は、サルコペニアの有無による2群間の特性については、対応のないt検定、マン・ホイットニーのU検定、χ2検定、共分散分析が用いられた。統計学的有意差の判定水準は5%未満である。

【結果】

要支援・要介護認定者のサルコペニア群(n=24)は、非サルコペニア群(n=40)に比し、BMI(21.9±2.8 v.s. 25.0±3.8)、SMI(5.7±0.9kg/m2 v.s. 6.5±0.8Kg/m2)、歩行速度(0.73±0.19m/秒 v.s.0.87±0.36m/秒)、EQ-5D-3L(0.73±0.07 v.s. 0.77±0.06)において低値を、調整された共分散分析によるEQ-5D-3L(0.72±0.01 v.s.0.78±0.01)は低値を認めた(p<0.05)。

【結論】

要支援・要介護高齢者のサルコペニア群のHRQOLは非サルコペニア群と比べ低値であることが示唆された。

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究は福岡和白リハビリテーション学院の倫理委員会の承認を得て(承認番号:FW-21-04)、利用者に説明、書面による同意を得て実施した。

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