日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第10回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: YP-03-1
会議情報

予防ポスター3(転倒)
退院1か月後の転倒状況の把握~在宅支援に向けて~
風間 健二
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに】

当院では退院者に対して転倒の有無、Barthel Index(以下BI)、 Life Space Assessment(以下LSA)を電話にて調査(以下追跡調査)している.調査内容より自宅退院者の転倒の有無による歩行の介助量、LSAの合計点の割合を確認したため以下に報告する.

【目的】

退院後の転倒状況及び生活状況、生活範囲を把握することで在宅支援の一助にすることを目的とした.

【方法】

2022年度に当院を退院し、退院1か月後に追跡調査を行った 300名の中で転倒状況、BI、LSAを確認できた176名を対象とした.対象者に対して転倒の有無、歩行の自立または自立以外の割合を確認した.LSAは池田らが転倒予測に対するLSAスコアのカットオフ値を47.3としていたため、47.3以上、47.3未満の割合を確認した.

【結果】

対象者の中で、転倒がある患者は17%、転倒がない患者は83%であった.転倒がある患者の中で歩行が自立しており、LSAが 47.3以上は75%であり、歩行が自立しておらず、LSAが47.3以 上は0%であった.また、転倒がない患者の中で歩行が自立し ており、LSAが47.3以上は65%であり、歩行が自立しておらず、 LSAが47.3以上は5.6%であった.

【考察】

転倒の有無に関係なく歩行が自立していない場合、転倒予測に 対するLSAのカットオフ値である47.3を上回る割合が少なかっ た.そのため、退院1か月後に転倒を起こしていない患者も今後、転倒を起こす可能性があることが考えられた.そのため、歩行が自立していない患者でLSAが47.3未満の場合、退院後に転倒予防を図っていく必要があると考える.また、転倒がある患者の中で歩行が自立しており、LSAが47.3を上回る割合も多かったため、退院後1か月は歩行が自立し生活範囲が拡大していても転倒する可能性を秘めていることが考えられる.しかし、今回の調査結果より、退院後1か月に転倒があった患者の割合が少なかったため、限りなく可能性は低いと考える.

【結語】

退院後、転倒による二次障害を起こすことを避けるためにも歩行能力、生活範囲の状況を把握し、改善していくことは重要なことであると考える.当院では在宅サービスとして訪問リハビリ・通所リハビリを展開しているため利用者の情報把握としての評価および分析を検討していきたい.

【倫理的配慮】

当院では診療で知り得た情報を研究で利用する旨について病院内の掲示にて公開している.研究に際して利用を希望されない場合は申し出てもらうようにしている.

著者関連情報
© 2024 日本予防理学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top