主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第58回 日本理学療法学術大会
共催: 第6回 日本産業理学療法研究会学術大会
会議名: 第10回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 函館市民会館・函館アリーナ(函館市)
開催日: 2023/10/28 - 2023/10/29
【はじめに、目的】
昨年度、別府市からの委託事業として転倒予防教室を行った。月 2回×3ヶ月の計6回を1クールとして4クール (全24回)を行い、 1クール終了毎に会場と参加者を変更した。教室内容として、転倒予防のためのトレーニングと健康増進に関連した講話を実施。また、初回と最終回に握力、片脚立位、 Timed Up & Go Test (以下 TUG)、Chair-Standing test 30 (以下CS-30)の計測とアンケートを実施した。そこで今回、教室参加者の計測結果を基に運動内容の妥当性を検証することとした。
【方法】
対象は65歳以上の市内在住高齢者とし、定員15名で実施時間は1時間とした。全ての回で筋力・バランス能力向上の体操を実施。その他に初回と最終回は計測、2~5回目は疼痛、認知症、口腔、栄養についての講話と内容に即したトレーニングを実施した。トレーニング内容として日本理学療法士協会が発行している理学療法ハンドブックを用いて、記載されている運動を中心に実施することで、自宅でも継続した運動ができるように促した。また、参加するたびにハンドブックが貰えるというお得感を出すことで参加継続への動機づけの一助とした。初回と最終回の計測結果を基にWilcoxonの符合付き順位検定を用いて比較検討を行った。なお有意水準は5%未満とした。
【結果】
事業定員60名に対して参加者は47名 (男性4名、女性43名)であった。参加者の中で3回以上の継続者は40名 (継続率85%)で、継続者の中で計測が行えた33名を対象に統計を実施した。結果、 TUGでは8.2→7.7秒 (p<0.01)、CS-30では15→19回 (p<0.01)と 有意差を認めた。その他、握力、片脚立位では有意差を認めな かった。アンケート結果からは、体を動かす自信がついたという方が88%、頻度が増えた方が82%と高い結果を得ることができた。
【考察】
転倒予防教室ということで下肢の運動を中心に実施したこと、理学療法ハンドブックに掲載されている運動を中心に実施したことで自主トレーニングとして取り入れやすかったことが下肢筋力向上、バランス能力の向上に繋がっていることから、運動内容は概ね妥当であったと考える。また、教室を通して運動に対する意 識・自信の向上にも繋げることができたと考える。課題として、機能面の向上がどのように生活の変化に結びついたかまでは調査できていないため、市と協力しながら今後の教室運営の中で検討していきたい。
【倫理的配慮】
本研究は、ヘルシンキ宣言に則って行い、得られたデータは個人情報が特定できないように配慮した。また、本研究の実施、公表にあたり別府市より了承を得た。