日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第10回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: YP-10-4
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予防ポスター10(ヘルスプロモーション)
温泉と運動を主としたヘルスツーリズムにおける活動報告
植田 慎矢
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抄録

【はじめに】

近年、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い国民の健康意識や健康に費やす金額が高まり、ヘルスケア事業への期待を窺える。その中で理学療法士による介護予防やフレイル予防等の活動は増え、予防理学療法の活躍が期待されるようになった。しかしながら理学療法士によるヘルスプロモーション事業への参画は幅が広くはない。 この度、静岡県ICOIプロジェクト(伊豆ヘルスケア温泉イノベ ーションプロジェクト)の認定温泉宿泊施設に依頼を受け、温泉療法専門医の医師の指示の下、温泉入浴と運動による血流改善プログラムを作成し、宿泊者へ入浴指導と運動指導を行った。 ICOIプロジェクトは、湯治やヘルスツーリズム、スポーツ、ワーケーションの3つの柱を軸に温泉の健康増進効果を期待した、新しいヘルスケア産業の創出を目指した事業である。 理学療法士によるヘルスプロモーション事業参画の新たな可能性として本事業の活動を報告する。

【方法】

静岡県賀茂郡東伊豆町に所在する温泉宿泊施設にて、2022年 12月に2回、2023年1月に2回の計4回実施した。参加者は3泊 4日滞在し、チェックイン、チェックアウト時には徳社製血流スコープTOKU Capillaroを使用し爪郭血流の測定、チェックイン後には座学による入浴指導と実技による運動指導を受け、滞在中は体操やウォーキング、観光などを行った。 入浴指導は、温泉についての基礎知識や泉質による効果、温泉入浴の身体的影響である「 温熱作用」 「 浮力の作用」 「 粘性抵抗作用」 「 薬理作用」 、入浴時の注意点等を中心に実施した。運動指導は、株式会社リハサクの提供するアプリ「 REHASAKU 」 を使用し、有酸素運動やストレッチを中心に実践した。また、滞在中も運動が継続できるよう指導した運動内容が分かるよう 資料を配布した。

【考察・結論】

新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、国民や観光業が受けた影響は計り知れない。その反面、国民の旅行や健康に対する欲求は年々増している。静岡県では旅行と健康を組み合わせたヘルスツーリズムへの期待が強まり、実践者も増えている。しかしながら、この健康面のサポートを行う医療職は多くない。健康増進と観光業の回復を図るヘルスツーリズムへの理学療法士の参入は、ヘルスプロモーション事業拡大と観光業で成り立つ地域をリハビリテーションすることを担えると示唆し、本事業の報告とする。

【倫理的配慮】

本事業報告においては、公益社団法人日本理学療法士協会が定める「 倫理規定」 および「 職業倫理ガイドライン」 、文部科学省ならびに厚生労働省の「 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」 を遵守して行った。

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