日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第10回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: YP-23-4
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予防ポスター23(健康)
月経痛の重症度別にみた暖かい衣服の着用頻度に関する調査
吉荒 瑠莉奈前田 慶明小宮 諒田城 翼水田 良実小田 さくら村田 菜奈子浦辺 幸夫
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抄録

【はじめに、目的】

月経痛とは,月経に伴い下腹部や腰部に生じる痛みであり,有病率は女子大学生で9割にのぼる (奥川,2016).月経痛に対する多様な対処行動のひとつに服装の工夫があり,一般的に薄着を避け,身体の冷えを防ぐような暖かい衣服を着用している (嵯峨,2012).月経痛が重度であるほど複数の対処行動をとっていることから (松本ら,2004),月経痛が重度の者は暖かい衣服を着用すると予想するが,月経痛の重症度と暖かい衣服の着用頻度は不明である.本研究は,月経痛の重症度別にみた暖かい衣服の着用頻度を探ることを目的とした.

【方法】

女子大学生800名を対象に2022年9月29日から10月7日まで Webアンケート調査を実施した.月経痛の程度はNRS (Numerical Rating Scale)を用い,0から10の11段階で聴取した.本調査では,月経痛の重症度カットオフ値を5とし (Schwerla F, 2014),4未満を月経痛軽度群,5以上を月経痛重度群として 2群に分けた.衣服に関する工夫として暖かい衣服の着用を提 示し,実施頻度は「毎回行う」「時々行う」「あまり行わない」「全く行わない」から回答を求めた.月経痛の重症度と暖かい衣服の着用の有無についてカイ二乗検定を行い,有意水準は 5%とした.

【結果】

有効回答が得られた174名のうち145名 (83.3%)が月経痛を有しており,このうち月経痛軽度群は48名 (33.1%),月経痛重度群は97名 (66.9%)であった.軽度群は暖かい衣服を意識して着用している者が20名 (41.7%)であり,重度群は暖かい衣服を意識して着用している者が58名 (59.8%)と多かった (p<0.05).

【考察】

本研究から,月経痛が重度である者は暖かい衣服を着用しており,実施頻繁が高い傾向にあることが推察された.肌を露出しない衣服の選択や重ね着により月経痛の軽減が得られるため (福山,2017),本研究の月経痛重度群も身体を温めることで疼痛軽減を図っていた可能性があると考える.今後は衣服が月経中の身体に与える影響について調査したい.

【結論】

月経痛の重症度別にみた暖かい衣服の着用頻度を探ることを 目的として,アンケート調査を実施し,月経痛軽度群と月経痛重度群では暖かい衣服の着用頻度に有意差がみられた.衣服が月経中の身体に与える影響について今後詳細な調査を行いたい.

【倫理的配慮】

本研究は,広島大学疫学研究倫理審査委員会の承認を得て行った (承認番号:E-3791).

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