日本建築学会論文報告集
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気象衛星による市街地熱環境調査 : リモートセンシングによる都市空間の構造解析 (その 2)
円満 隆平尾島 俊雄
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1983 年 334 巻 p. 101-108

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抄録
以上の結果をまとめると (1) 気象衛星の熱映像が局地気象スケールでの市街地熱環境調査に利用できることを示した。(2) 東京, 大阪の気象衛星熱映像から, 夏季日中には中層の密集市街地の地表面相当温度が最も高く, 高層市街地の地表面相当温度が比較的低いことがわかった。特に東京についてはほぼ同時刻の気温分布もおおむねこれに対応していることがわかった。(3) 東京における冬早朝の気象衛星熱映像とほぼ同時刻の気温分布から, 高層市街地では地表面相当温度が比較的高く, 低層市街地では地表面相当温度, 気温共に低いことがわかった。(4) 水面は熱容量が大きいため地表面相当温度が夏日中低く, 冬早朝高いことから気候緩和機能が大きい。高層市街地もやや同様の傾向を示すことから, 今後の市街地熱環境研究においては地表の熱容量の問題の検討が重要である。(5) 地表面相当温度および気温とランドサットデータによる地表状況面積百分率との重回帰分析から, 局地気象スケールでの地表面相当温度および気温と都市空間構造との相関は冬早朝に大きく, 特に地表面相当温度においてそれが顕著である。これに対して夏日中のこれらの相関は冬早朝の場合より小さいが, 無視し得ない大きさであることがわかった。今後は気象データおよび気象衛星熱映像のより多くの蓄積, 気象衛星映像による地表の熱容量の推定などが必要である。
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© 1983 一般社団法人日本建築学会
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