主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第58回 日本理学療法学術大会
共催: 第6回 日本産業理学療法研究会学術大会
会議名: 第10回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 函館市民会館・函館アリーナ(函館市)
開催日: 2023/10/28 - 2023/10/29
【はじめに、目的】
腰痛予防に着目したアクティブ・ラーニ ング型のヘルスリテラシー(Health literacy;HL)講義を実施し、リハビリテーション (以下リハ職)のHLや腰痛の効果を検証する。
【方法】
リハ職41人を対象とした。HL講義は腰痛に対するHL を身に着ける事を目的とした。5~10分の動画であり全16回行った。内容はHLのプロセスに基づきHLの入手・理解・評価・活用で構成した。週1~2回でLINE公式アカウントのメッセージ機能より配信した。講義の導入部分で腰痛予防体操を紹介した。また、次回内容に関連する課題を出す際自分なりに考えた回答を返信する様対象者に求めた。評価項目は基本情報として年齢、性別、 身長、体重、BodyMass Indexを聴取した。HL評価は、Health Literacy Survey Questionnaire12項目短縮版 (HLS-Q12)、14-item Health Literacy Scale(HLS-14)を聴取した。腰痛評価は非特異的腰痛の有無、腰痛が有る者に対しては Numerical Rating Scale (NRS)を聴取した。また、腰痛の際自身が行う対処方法を安静、服薬、コルセット、運動、温める、その他の6項目から選択させた(複数回答可)。対応のあるt検定を行い、 有意水準は5%で解析を行った。
【結果】
最終的な分析対象者は16人 (平均年齢27.2±7.6歳、男性が9人、女性7人)であった。HLS-Q12は介入前30.5±7.1点で介入後32.5±6.6点と改善傾向を示し、下位項目のヘルスケア(Health Care;HC) 領域は介入前29.6±8.1点で介入後32.5± 7.0点と有意に改善した(p=0.02)。HLS-14は介入前56.4±7.8点で介入後54.5±6.7点と悪化傾向を示した。介入前腰痛有りの6人のうち2人(12.5%)が介入後腰痛無しに改善し、残りの4人 (25.0%)もNRSが介入前5.5±2.6点で介入後3.2±2.2点と低下した。しかし、介入前腰痛無しの10人のうち2人 (12.5%)が介入後腰痛を発症した。腰痛の対処方法は介入後、より多くの選択肢を選び28→35件に増加した。
【考察】
本講義で、腰痛をテーマとして情報の検索・確認方法、見つけた情報の長所・短所の見分け方を教授したことで HLS-Q12のHC領域が改善したと考えた。また、HLS-14で取り扱っているスキルは高度であるため、講義を通し自身のHLが低い事を認識した事で低下したと考えた。腰痛に対しても本講義を通して痛みの改善や対処方法の向上に繋がる可能性が示唆された。
【結論】
腰痛予防に着目したアクティブ・ラーニング型のHL講義を実施する事でHLが向上し腰痛予防に有効である可能性が示唆された。
【倫理的配慮】
本研究は榛名荘倫理審査委員会にて承認を得た (承認番号 220102)。対象者には書面と口頭による説明を実施した。また、質問表の提出をもって研究参加の同意があるものとした。