日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 97
会議情報

口述 22
介護予防のための地域ケア個別会議有用化に関する横断的研究 第3報
*壹岐 英正小川 玉青石川 真由美田島 美幸服部 沙織山下 陸視
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに】

我々は地域ケア個別会議 (以下個別会議)について調査を実施し有用化を図っている.前回は地域課題の検討と対策が課題に挙がり,新たな取り組みを踏まえて検証したため報告する.

【方法】

調査対象は参加者69名とした.方法は匿名による質問紙もしくはオンライン調査とした.内容は,属性を職種,経験年数,出席回数,全員に意義,目的理解,検討時間,有用性を,介護支援専門員 (以下CM)に事前打ち合わせ是非,学び,意見活用,事例提供是非を調査し,有用化検証として過去2年の結果と比較検討した.

また「地域課題が解決していない」の意見をもとに,個別会議で挙がった地域課題を検討する場 (以下包括会議)を立ち上げ,新たに包括会議の意義,地域課題検討の意義,利用者支援への貢献を調査した.

【結果】

職種はCM8名,その他16名の24名 (回答率34.8%),経験年数 は0~3年が5名,4~9年が9名,10年以上が10名,回数は0~ 1回が7名,2~4回が4名,5回以上が13名であった.意義は「感じる」75.0%,「感じない」4.2%であり「感じる」が10ポイント (以下p)以上増加,目的は「理解できる」75.0%,「理解できない」4.2%であり「理解できる」が8.4p増加,時間は「ちょうど」87.5%,「長い」12.5%であり,「長い」が4.2p増加,有用性は「はい」87.5%,「いいえ」12.5%であり,「いいえ」が12.5p増加,事前打ち合わせは「必要」75.0%,「不必要」12.5%であり「必要」が25p以上増加,学びは「なった」 62.5%,「ない」12.5%であり「ない」が12.5p増加,意見活用は「ある」25.0%,「ない」75.0%であり「ない」が8.3p増加,事例提供は「是」0%,「どちらでもない」37.5%,「非」 37.5%であり「どちらでもない」が7.5p増加した.

包括会議の意義は「ある」66.8%,「ない」4.2%であり,地域課題検討意義は「ある」95.8%,「ない」0%であり,貢献は「ある」58.8%,「ない」4.2%であった.

【考察】

個別会議の意義や目的理解は増加傾向で,事前打ち合わせの有用性も示された.横山ら (2020)は会議の阻害因子として参加者の理解不足や事前打ち合わせ不十分を挙げており,当町は事前に論点を共有し有意義な議論が出来ていると考えられる.一方CMの学びや意見活用は減少し,事例提供者との意義共有は課題である.また包括会議の有用性はあるが効果の実感は不十分なため,地域課題が政策形成につながる経験が必要である.

【倫理的配慮】

対象者に対し調査の趣旨を説明し同意を得て実施した.調査データは個人が特定できないよう配慮し,研究者相互間でのデータの閲覧,保管については安全管理の徹底を図り,取得した情報は研究代表者の責任の下に管理し,厳格なアクセス制限の管理と制御を行った.

著者関連情報
© 2025 日本予防理学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top