日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 98
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口述 22
要介護認定の有無による通いの場における高齢者の活動内容の比較
*谷津 圭祐佐藤 佑太朗渡邊 康介松岡 寛樹松田 涼樫木 雅美佐藤 佑樹福嶋 篤
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抄録

【はじめに、目的】

通いの場に参加することは,要介護認定高齢者(以下認定者)にとって重度化予防となり,介護給付費の抑制が期待される.認定者は自立者に比べ参加に何等かの支援を必要とする者が多くなることが予想されるが,その報告は少なく実態も把握できていない.今後参加増加が見込まれる通いの場における認定者の支援策の検討の一助とするべく,本研究では認定者が参加している通いの場の活動内容の特徴を明らかにすることを目的とした.

【方法】

対象は札幌市の事業として実施された通いの場に参加する65歳以上の地域高齢者で,調査項目に欠損がない者とした.調査項目は令和5年度時点の要介護認定の有無,年齢,性別,既往歴,既往歴数,通いの場の活動内容とした.傾向スコアマッチングを用い,年齢,性別を調整し認定者群と自立群の間で活動内容,既往歴,既往歴数を比較した.

統計解析は2群間比較にMann‒Whitney U test,カイ二乗検定もしくはフィッシャーの正確確率検定を用い,有意水準は5%とした.

【結果】

対象者は3326名で、認定者は460名であった.分析対象者は傾向スコアによる1:1のマッチングを行った結果,計906名となった.認定者群で通いの場の趣味活動 (p<0.01,φ=0.14)のみが有意に少なく,他の活動に有意差はなかった.既往歴数 (p<0.01,r=0.36)は有意に多く,特に運動器(p<0.01,φ=0.15),認知症(p<0.01,φ=0.12),脳疾患(p<0.01,φ=0.09)が有意に多かった.自立群では脂質異常症(p<0.05, φ=0.08)が有意に多かった.

【考察】

認定者は趣味活動以外の活動では自立者と同様に参加を継続できていることが示唆された.高齢者の高次生活機能は,最初に社会的役割,次に知的能動性のように複雑なものから順に低下しやすいことが報告されている. 趣味活動は知的能動性に該当すると考えられ ,他の通いの場の活動に比べて疾患数の増加 ,特に運動器疾患で起こる機能低下や認知症による認知機能の低下が関連している可能性がある.

【倫理的配慮】

【倫理的配慮、説明と同意】

ヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行った.取得したデータは匿名加工情報に該当し,データの利用については事業実施時に対象者より書面にて同意を得ている.また本発表については事業主体である市介護保険課の了承を得て実施している.

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