日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: P - 47
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ポスター 23
訪問リハビリテーションにおける栄養指導に関する取り組み
*高濱 祐也井尻 朋人鈴木 俊明
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抄録

【はじめに、目的】

昨今、要介護者の重度化防止に向けて、専門職による適切な栄養管理の実施に繋げる観点から、リハビリテーション (以下、リハ)と栄養管理を一体的に実施することが重要であると報告されている。また、在宅療養者において、約7割が低栄養もしくは低栄養のおそれに該当すると言われている。低栄養になると様々な合併症がみられるため、訪問リハビリテーション (以下、訪問リハ)職種をはじめとして在宅療養者に関わる職種が栄養管理をすることが求められている。しかし、訪問リハ職種が栄養指導を実践した報告が見当たらない。そこで、栄養指導の取り組みをスタッフが実践することで、低栄養者の栄養状態や入院率、スタッフの栄養に関するスキルに変化が生じるのかを検討した。

【方法】

対象は令和2~5年度において、訪問リハを利用した414名とした。また、リハ職種8名が栄養指導を実施した。方法は対象者にMNA-SFを実施し、11点以下の場合はGLIM基準に従って低栄養と判断した。低栄養者には食事内容を聴取し、食事内容とサービング数を比較し不足している栄養素を摂取するよう食事指導を実施した。アウトカムとして、事業所独自に作成したスタッフの栄養に対するスキル・介入の実際 (評価方法や低栄養アルゴリズム等)、低栄養者の栄養状態 (MNA-SF、体重、下腿周径、BMI、GLIM基準)、入院割合を選定した。取り組み前の令和2,3年度と取り組み後の令和4,5年度のアウトカムをウィルコクソンの符号付き順位検定、χ²検定でc群比較した。統計学的有意水準は5%とした。

【結果】

取り組み前後での年齢や介護度、性別には変化がないことを確認した。令和4,5年度のスタッフの栄養に対するスキル・介入の実際は、取り組み前より点数が有意に増加した。また、低栄養者の栄養状態はMNA-SFの合計点数と急性疾患の項目のみ有意差を認めたが、他項目や入院割合は有意差を認めなかった。

【考察】

栄養指導の取り組みを事業所で構築し、栄養評価・指導を実践 したことでスタッフの栄養に対するスキルが向上した。また、 MNA-SFの急性疾患の項目に改善があり急性期を脱したことで 低栄養状態が改善したが、その他の評価や入院割合に変化はなかった。今後はリハ職種だけでなく主治医や管理栄養士が主体となって多職種連携で栄養指導を実践することで、栄養状態悪化や入院予防に繋がるのかを検討することが重要と考えられた。

【倫理的配慮】

本研究はヘルシンキ宣言に基づき実施した。対象者には研究の趣旨、個人情報の保護に対する配慮を口頭にて説明し、同意を得た。

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