日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: P - 53
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ポスター 24
回復期リハビリテーション病棟における大腿骨近位部骨折患者の実績指数の予測に関わる因子の検討
*山田 亮佳鍛治 宏宣
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抄録

【はじめに、目的】

近年、回復期リハビリテーション病院では質の評価として実績指数が組み込まれている。2020年度の診療報酬改定では回復期リハビリテーション病棟入院料Ⅰを算定する条件の1つとして実績指数が40へと引き上げられたことからも、短い入院期間で質の高いリハビリテーションの提供が求められている。実績指数には除外基準が設けられているが実績指数の除外は入棟月に除外の判断が必要となるため、早期より実績指数の予測が求められる。本研究ではInbodyを含む入院時の評価と実績指数との関連を検討することで、早期から実績指数の予測を行うことを目的とした。

【方法】

対象者は2024年1月1日から12月31日に当院に入院し退院に至った、大腿骨近位部骨折患者のうち80歳以上、MMSE24点以上の患者68名(男性16名、女性52名、平均年齢87.70±4.92歳)とした。ペースメーカー等の植え込み型医療機器を使用している患者、入院時に患側下肢の免荷指示があった患者、状態悪化により転院した患者は除外した。実績指数が40以上の群を達成群、40未満の群を非達成群と定義し、入院時の位相角、SMI、 FBS、BMI、TP、Alb を調査し、2群間の比較を Mann-WhitneyU検定にて実施した。また有意差を認めた項目に関しては正確度の評価を実施し、ROC曲線からcut off値を算出した。有意水準は1%未満とする。

【結果】

達成群は55名(男性12名、女性43名、平均年齢87.58±4.96歳)、非達成群は13名(男性4名、女性9名、平均年齢88.23±4.74歳) であった。Mann-WhitneyU検定の結果から入院時の位相角、 FBSに有意な差を認めた(p<0.01)。その他の項目は有意差を認めなかった。 ROC曲線から位相角、FBSのcut off値を算出したところ位相角のcut off値は2.9(曲線下面積0.742、95%信頼区間0.572-0.912)、FBSのcut off値は10点(曲線下面積0.866、 95%信頼区間0.737-0.996)であった。

【考察】

2群間において位相角、FBSに有意な差を認めた。位相角、バランス能力が低い患者に関しては実績指数も低い傾向にあり、 cut off値を算出したことで指標を明確化することができた。よって除外対象者を検討する際の一助になる可能性が示された。また、入院期間の長期化やADLの改善に難渋する患者の予測にも有用であり、そのような患者に対して早期より適切なリハビリテーションの提供、退院支援が行いやすくなると考える。

【倫理的配慮】

小金井リハビリテーション病院倫理委員会の承認を得た(承認番号2024年31号)。本調査はヘルシンキ宣言に基づいた規定に尊守し、個人が特定できないように匿名化しデータの取り扱いには十分注意した。

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