日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 04
会議情報

口述1
アンクルバンド型加速度計とスマートフォン内蔵GPSで測定した日常生活歩行速度の一致度に関する検討
*河合 恒ゴン ルイ今村 慶吾江尻 愛美大渕 修一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに、目的】

我々は日常生活における歩行速度測定に着目し、スマートフォン内蔵のGPSを用いた歩行速度計測アプリ を利用して、屋外での日常生活歩行速度測定に関する研究を行ってきた。しかし、GPSを用いた計測は屋外でのみ可能であり、フレイルの評価には屋内での日常生活歩行速度測定も有用であると考えられる。本研究では、屋内歩行計測が可能なアンクルバンド型加速度計による日常生活歩行速度測定の妥当性を検証するために、アンクルバンド型加速度計とスマートフォン内蔵 GPSによる日常生活歩行速度の一致度について検討した。

【方法】

地域高齢者のコホート「お達者健診2011」の2022年調査において、アンクルバンド型加速度計による日常生活歩行速度測定の参加者を募った。参加者にはアンクルバンド型加速度計 (WALK X, ACOS社製)を配布し、歩行速度 (WALKX歩行速度)を分単位に測定した。スマートフォン利用者には内蔵GPSによる歩行速度計測アプリを各自のスマートフォンにインストールしてもらい、ステップカウンタが安定歩行を検出した際に歩行速度 (GPS歩行速度)を計測した。GPS歩行速度は分データに分割し、WALKX歩行速度と時間でマッチングした。連続した時間に計測された歩行速度は平均値を算出し、WALKX歩行速度とGPS歩行速度のペアデータを作成した。統計解析は2つの歩行速度のPearsonの相関係数、級内相関係数 (2,1)、Bland-Altman Plotを用いた。

【結果】

2つの歩行速度がマッチングできた分析対象者は99名 (男性38名、女性61名、平均年齢 (標準偏差):71.5 (4.9)歳)で、 1629ペアデータを作成した。1人あたりのデータ数の平均は16.5データ、1データあたりの歩行距離の平均は358.6mであった。WALKX歩行速度とGPS歩行速度の相関係数r=0.735、級内相関係数ICC(2,1)=0.538であった。WALKX歩行速度-GPS歩行速度を縦軸としたBland-Altman Plotは負の方向へ偏った分布を示した。WALKX歩行速度-GPS歩行速度の平均値は-0.179m/sであった。

【考察・結論】

WALKX歩行速度とGPS歩行速度は高い正の相関を認めたが、一致度は中程度であった。WALKX歩行速度は GPS歩行速度に比べて約0.18m/s遅く、加算誤差があることがわかった。したがって、アンクルバンド型加速度計とスマートフォン内蔵GPSで測定した歩行速度は、適切な補正を行うことで比較・交換が可能であることが示唆された。

【倫理的配慮】

本研究は東京都健康長寿医療センター研究部門倫理委員会の承認を受けて実施した (承認番号:R22-094)。本研究の参加者には、本研究について口頭および説明文書にて研究内容について説明し、書面にて同意を得た。

著者関連情報
© 2025 日本予防理学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top