日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 43
会議情報

口述 7
通いの場の高齢者における1年後のフレイル予測要因の検討
*福嶋 篤松岡 寛樹谷津 圭祐渡邊 康介佐藤 佑太郎松田 涼佐藤 佑樹樫木 雅美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに、目的】

通いの場に参加する高齢者の1年後のフレイル状態を予測する因子を検討する。高齢化により通いの場の参加者のフレイル高齢者が増加することが予想され、フレイルの予測要因を明らかにすることで、早期発見と健康寿命の延伸が期待される。

【方法】

札幌市の通いの場に参加する高齢者のうち、令和4年度時点の フレイル非該当者を対象に、令和5年度のフレイル該当の有無を目的変数として、令和4年度時点の年齢、性別、BMI、同居の有無、後期高齢者の質問票 (以下、質問票)の回答、活動状況、既往歴、指輪っかテスト、握力、5回立ち座り、TUGの測定結果を説明変数としてランダムフォレストで分類モデルを構築し、重要な10変数を特定した後、SHAP値の絶対値平均を算出し、部分依存プロット (PDP)を作成した。モデル評価はAUC、感度、特異度、正確度、カッパ係数、F1スコアを用いた。質問票の No.1、2、12を除く12項目について健康リスクがある回答1つにつきフレイルスコア1点とし、4点以上をフレイルとした。

【結果】

分析対象者は1,247名 (女性86.2%)、年齢は中央値80 (75-83)歳であった。令和5年時点でフレイル該当は181名、非該当は 1,066名であった。モデルの評価結果はAUC0.87、感度0.95、特異度0.61、正確度0.84、カッパ係数0.54、F1スコア0.89であった。重要な変数とSHAP値の絶対値平均は、質問票No.10認知機能 (0.083)、質問票No.11認知機能 (0.08)、質問票No.4口腔機能 (0.074)、質問票No.7運動・転倒 (0.048)、握力 (0.047)、 BMI (0.039)、5回立ち座り (0.03)、趣味活動 (0.029)、通いの 場の参加頻度 (0.028)、TUG (0.023)。PDPにより、質問票 No.4 (口腔機能)とNo.10、11 (認知機能)の3変数がフレイルに大きく影響し、他の重要変数もフレイル抑制に影響していた。

【考察】

モデルの高い予測性能が確認された。SHAP値やPDPの結果から、認知機能がフレイル発生の予測に最も重要な因子であることが明らかになった。また、口腔機能も重要であり、定期的な評価と介入が必要であることが示唆された。また、身体機能が良好であること、趣味活動や通いの場への参加がフレイル予防に寄与する可能性が高い。これらの指標を定期的に評価し、早期介入を行うことが健康寿命の延伸につながると考えられる。

【倫理的配慮】

【倫理的配慮、説明と同意】

ヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行った。取得したデータは匿名加工情報に該当し、データの利用については事業実施時に対象者より書面にて同意を得ている。また、本発表は事業主体である市介護保険課の了承を得ている。

著者関連情報
© 2025 日本予防理学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top