主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第59回 日本理学療法学術大会
会議名: 第11回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 仙台大学(宮城県柴田郡柴田町)
開催日: 2024/11/09 - 2024/11/10
【はじめに、目的】
当センターでは、職場に出張し社員の健康増進を目的とした各種の健康測定を実施している。今回は測定結果と運動習慣との関わりを検討した。
【対象】
2011年3月から2018年8月までの間に体組成測定と骨密度測定および質問票を同日に実施した20歳から65歳の勤労者、男性 327名 (平均42.0±9.8歳)、女性382名 (平均38.3±7.9歳)の709名とした。
【方法】
体組成の測定には、BIA法の体成分分析装置インボディ720 (イ ンボディジャパン)を用いた。測定項目は、身長、体重、BMI、全身の筋肉量、四肢体幹の部位別筋肉量、体脂肪量、体脂肪率、導出項目として骨格筋指数 (SMI)を求めた。骨密度の測定には、超音波測定装置ビーナスα (日本光電)を用いた。
また問診票による情報として、運動習慣 (あり・なし)とその頻度 (週5回以上・週2~4回・週1回・月1~3回)と強度 (軽め・ややきつめ・きつめ)を得た。
分析は、運動習慣の有無で2群化したものと、運動無し、低、高で3群化した運動頻度と運動強度の体組成と骨密度の値を、T検定または一元配置分析にて比較した。骨密度においては他の指標との関連を重回帰分析にて解析した。
【結果】
運動習慣の有無では、男性で習慣有り群が無し群よりも、全身筋肉量、下肢筋肉量、SMIで高く、体脂肪量、体脂肪率で低かった。女性では同様に全身筋肉量、上下肢体幹筋肉量、SMIで高かった。
運動頻度では、男性で高頻度群が他2群に対して、体脂肪量、体脂肪率で低かった。
女性では低頻度群が無し群に対して、全身筋肉量、上下肢体幹筋肉量、SMI、骨密度で高かった。
運動強度では、男性で高強度群が無し群に対し、全身筋肉量、 SMI、骨密度で高く、体脂肪率では低くて、低強度群に対しては骨密度でも高かった。また、体脂肪率は低強度群でも無し群に対し低かった。
女性では高強度群が無し群に対し全身筋肉量、上下肢体幹筋肉量、SMI、骨密度で高く、SMIでは低強度に対しても高かった。骨密度と他の指標との関連では、男性の骨密度は運動強度と正に、年齢と身長には負に関連し、女性では運動強度とSMIに正に関連していた。
【考察】
筋肉量は運動強度と、体脂肪は運動頻度との関わりが強く、また、骨密度は運動強度との関連から骨への強めの刺激の必要性が推察された。
測定結果は概ね運動習慣を反映する内容となっており、上手く動機付けに活用し健康増進の一助とする事が望まれる。
【倫理的配慮】
調査で用いたデータは、当施設により企業への 出張健康測定の際に得られたデータを用いている。企業に対してはこれらのデータが将来的に個人を特定しない形で研究等に用いることを事前通達し同意を得た上で測定を実施しており、また個人に対してはアンケートの提出をもって同意を得ている。