日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 48
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口述 8
中年期男性における肥満タイプ別の身体機能の特徴
*浜野 泰三郎山本 遼浦谷 明宏山本 諒白石 明継
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抄録

【はじめに、目的】

肥満はメタボやロコモをはじめ様々な健康障害を合併するため,肥満改善/予防に対する取り組みの重要性が高まっている.一方,標準体重であっても体脂肪率が高い正常体重肥満(以下,かくれ肥満)が近年注目されており,肥満と同様に健康障害を合併する可能性が高いとされている.本研究の目的は中年期男性を対象に肥満タイプ別の特徴を調査することである.

【方法】

対象は当院人間ドックにてロコモ健診を受けた40歳~64歳の男性250名とした.体組成検査のBMIと体脂肪率を用い肥満タイプの群分けをした.本研究ではBMI25未満/体脂肪率20%未満を標準群,BMI25未満/体脂肪率20%以上をかくれ肥満群,BMI25以上/体脂肪率20%以上を肥満群とし,3群で身体機能の比較検討を行った.

調査項目は年齢,腹囲,運動習慣/ロコモの有無,筋力(膝伸展・握力),四肢骨格筋指数(SMI),血液検査(HbA1c,HDLコレステロール,中性脂肪),血圧とした.また,メタボ該当者と予備群を調査した.統計学的処理は正規性の検定を行い,Tukey HSD検定 ,Kruskal-wallis検定,X2検定にて群間の変数を比較した.統計は SPSS20を用い有意水準を5%未満とした.

【結果】

標準群80名,かくれ肥満群68名,肥満群100名であった.身体機能ではロコモ有の割合で肥満群(41.0%)が標準群(18.8%)より有意に高値であった(P<0.01).下肢筋力(Nm/kg)ではかくれ肥満群 (1.9)と肥満群(1.8)が標準群(2.1)より有意に低値であった (P<0.05).SMIでは肥満群(8.6)がかくれ肥満群(7.7)と標準群(7.5)より有意に高値であった(P<0.01).運動習慣では有の割合が標準群38.8%,かくれ肥満群22.0%,肥満群29.0%であり,かくれ肥満群が一番低い傾向にあった(P=0.056).メタボ該当者は肥満群53名,かくれ肥満群11名,標準群0名,メタボ予備群は肥満群31名,かくれ肥満群9名,標準群2名であった.

【考察】

肥満群は他の群に比べ筋肉量は多いが,ロコモ有の割合が標準群に比べ有意に高く,メタボとその予備群が84%と高い結果となった.先行研究からメタボとロコモは密接に関連すると報告されており,肥満群でも同様の傾向が確認された.かくれ肥満群では,ロコモ有の割合で他の群と有意差はないが,下肢筋力は標準群に比べ有意に低く,また運動習慣有の割合が低い傾向にあり,同世代の全国平均値を下回る結果となった.またメタボとその予備群が29%いることが判明した.かくれ肥満群ではロコモ無が多くBMIが標準であるため体質改善への意識が低い可能性があり,潜在的なメタボやロコモのリスクが高い群と考えられた .

【倫理的配慮】

本研究はヘルシンキ宣言に基づき「人を対象とする医学研究に関する倫理指針」を遵守している.得られたデータは本研究の目的以外には使用せず,研究の結果を公表する際も被験者を特定できる情報は使用しない.また,本研究は当院臨床研究審査委員会における【承認番号4383号】を取得している.自施設既存情報を用いる研究であるため,倫理指針に従って当施設ホームページにて情報公開し,拒否機会を付与している.

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