日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: P - 02
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ポスター 13
立位姿勢保持が困難な症例に対する、FUNレストテーブルを用いた排泄下衣操作に着目した生活リハビリ
*木下 翔平小川 康弘真間 裕基
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抄録

【はじめに】

排泄動作障害に対して動作方法変更や環境調整による介入報告は少ない。今回、一般的な立位姿勢保持困難な症例に対し、 FUNレストテーブル(以下;テーブル)荷重立位下での排泄下衣操作獲得を目標に、応用行動分析学的手法を用いた生活リハビリ(以下;生活リハ)の経過を報告する。

【症例】

80歳代女性、要介護3、認知症高齢者日常生活自立度Ⅱa。変形性膝関節、痛風性関節症、腰椎圧迫骨折の既往。

令和5年1月1日自宅で転倒入院。介護老人保健施設入所後、同 年7月4日介護付き有料老人ホーム入居。入院後排泄は二人介助、ホーム入居以降テーブル導入し一人介助となった。

令和6年1月10日時点でFIM運動項目41点、排泄2点、トイレ移乗4点。膝関節伸展ROM-20°、大腿四頭筋筋力MMT2/3。立位保持は平行棒8秒、垂直手すり不可。テーブル荷重立位は両上肢支持60秒、左上肢離し25秒、右上肢離し5秒。

【方法】

排泄動作を課題分析し、標的行動をテーブル荷重での下衣操作と定め、必要なプロンプトを(1)動作指示、(2)言語教示、(3)身体誘導と分類。(2)、(3)が必要な行動要素のみ抽出、ケアスタッフによる日常排泄介助(以下;生活リハ)に取り入れ、プロンプトを徐々に減らした。期間は令和6年1月10日~3月30日。

【経過】

排泄介助中右上肢離して立位保持する生活リハから開始。テーブル上での重心移動に(3)用いた。13日目に30秒保持可能となった。14日目からズボンを下ろす動作に(1)、(2)、立位保持に (3)用いて生活リハ開始。34日目に(2)、(3)を外した。40~46日目はcovid-19クラスター、60~68日目は腰痛、右下肢脱力 で中断。69日目からズボン/リハビリパンツを下ろす動作に(1)、 (2)付与して生活リハ開始。80日目の3月30日時点で(1)のみで 下衣操作獲得。FIM運動項目43点、排泄2点、トイレ移乗5点。身体状況、平行棒・垂直手すり立位保持時間は変化なし。テーブル荷重立位は、左上肢離し60秒、右上肢離し60秒。

【考察】

初期評価から左上肢で下衣操作はできると予測したが実際には失敗が多かった。テーブル荷重での立位保持、重心移動に身体ガイドを用いた事で姿勢制御が容易となり、上肢操作を行う余裕が生じ下衣操作課題に集中出来た。立位保持課題から徐々に目標の下衣操作へと行動形成した結果、長期排泄全介助だった本症例が下衣操作獲得に至った。

応用行動分析学的手法を用いる事で、生活リハはADL改善に有用な手段となる可能性が示唆された。

【倫理的配慮】

本事例報告はヘルシンキ宣言を遵守し、対象者に口頭と書面で説明行い同意のもと、個人情報の特定がなされないよう十分に配慮の上実施した。

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