日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: P - 10
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ポスター 14
職場における就労支援の実践例
*道下 将矢鈴木 滉大
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抄録

【はじめに、目的】

「職場における腰痛予防対策指針」が厚生労働省より策定され、予防対策が急務となっている。当院で取り組んだ就労支援の内 容が日本理学療法士協会主催の「職場における腰痛予防宣言」にて金メダルを受賞したことを背景に、理学療法士による就労支援の実践例を報告することを目的とする。

【方法】

デスクワーク職員27名 (女性24名、男性3名)を対象に、アンケ ートにて腰痛状況を事前に聴取し、3グループにグルーピングした (予防グループ:腰痛に悩んでいない、改善グループ:過 去に腰痛に悩んでいたor仕事で腰痛に悩まされている、行動グループ:仕事と日常生活の両方で腰痛に悩まされている)。講義前半は全グループに対して腰痛予防講習会を実施し、腰痛に関する現代社会の課題やデスクワークと腰痛の関係を講義した。講義後半は各グループに分かれて介入した。 (予防グループ:仕事前体操の指導、改善グループ:デスクワーク環境調整・セルフエクササイズ指導、行動グループ:デスクワーク環境調整・腰痛検診受診)。なお、デスクワーク環境調整は実際の就労場面を確認し、場合により改善提案を行った。腰痛検診は当院でパッケージ化された内容により、詳細の腰痛評価・セルフエクササイズの指導を個別に実施した。

【結果】

事後アンケートの結果は、①体を見直すきっかけになった: 85%、②日々の業務遂行に良い面があったか:68%、③我々が指導した業務環境調整は業務上良い面があったか:80%であった。

【考察】

講義で腰痛が引き起こす生産性・業務効率低下について伝えることで、現在腰痛が無い予防グループにおいても意欲的に参加して頂けた。就労環境は様々で、椅子やテーブル等の調整が難しい場合もあった。足台等の代替手段の提案やバックレストのクッション位置など、理学療法士が当たり前と感じていることが、他職種の職員には新しい気づきになることを経験した。今回は、事前アンケートによって腰痛状況を聴取していたことが功を奏したが、限られた中で個別性に配慮することは工夫が必要と考える。場合によっては、就労支援の対象者を限定することも考えていきたい。

【倫理的配慮】

今回の発表に際し、ヘルシンキ宣言に則り筆頭演者所属施設の倫理委員会の承認を受けている。 (承認番号:1207)

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