主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第59回 日本理学療法学術大会
会議名: 第11回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 仙台大学(宮城県柴田郡柴田町)
開催日: 2024/11/09 - 2024/11/10
【はじめに、目的】
理学療法士 (以下,PT)は身体運動を指導する機会の多い職種だが,PT自身の身体活動量は決して高くはないことが明らかになっている。PTの健康増進を考えた時,勤務中の身体運動の機会は貴重であり,PTが健康でいることが患者の健康にも繋がる。本調査では理学療法プログラムとして立案することの多いスクワットに着目し,勤務中に理学療法士がどの程度患者と一緒にスクワットを行っているのか,また,スクワットの回数と主観的健康観に関係はあるのかについて調査した。
【方法】
首都圏の医療機関に勤務するPT39名 (M31,F9)を対象にGoogle formを使用してアンケート調査を行った。調査項目は,年齢,性別,身長,体重,勤務先の情報,平均的な1日の実施単位数,患者にスクワットを行わせるか否か,自分も一緒に行うか否か,平均的な勤務日1日で何回行うか,主観的健康観,である。主観的健康観は「あなたは普段,自分を健康だと思いますか?」との質問に,1.非常に健康だと思う,2.まあ健康な方だと思う,3.あまり健康ではない,4.健康ではない,の4件法で回答を求め,1と2を選択した方を健康群,3と4を選択した方を不健康群として比較した。検定にはt検定Welchの方法を用い,有意水準は5%とした。
【結果】
対象者の平均年齢は31.9±9.7歳,BMIは平均22.7±3.9,勤務先の病床数は20床未満が1名,20~99床が2名,100~199床が7名,200~399床が29名,400床以上は0名であった。病床の種別では,一般病床のみが34名,その他の病床を併設した病院は5名であった。1日の実施単位数の平均は17.0± 4.5であった。患者にスクワットを行わせるPTは32名であり,このうち自分も一緒に行うのは29名で,1日の平均回数は15.6±17.4回であった。主観的健康観による分類では,健康群が28名 (M22,F6),不健康群が11名 (M9,F2)であり,両群間の年齢, BMI,実施単位数,スクワット回数に有意な差は無かった。
【考察・結論】
対象者の74.4%にあたる29名が患者と一緒にスクワットを行っていたが,その回数は平均15.6回と少なかった。PTの身体活動量の確保と健康増進に加え,患者と同じ動作を行うことは共感性や親密度を高める効果も期待でき,勤務中に積極的にスクワットを実施すべきと考える。
【倫理的配慮】
得られたデータは個人が特定出来ない形で処理し,本研究以外に使用することはないことを説明し,同意を得た。