日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: P - 14
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ポスター 14
片脚スクワットが指床間距離に及ぼす即時的影響
*白谷 智子福澤 優偉
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抄録

【はじめに、目的】

我々は臨床において体重を利用したRTでも柔軟性の改善を経験することから,両脚スクワットと片脚スクワット,持続伸張が柔軟性 (指床間距離:FFD)に及ぼす影響を検証した結果,持続伸張より両脚スクワットにおいて有意な柔軟性の改善が認めた (白谷ら,2023).この検証では片脚スクワット両下肢とも同じ回数実施し,その後の柔軟性の変化を検証したが,利き足 (片足バランス能力が高い)と非利き足の片脚スクワットが柔軟性に及ぼす影響は検証しなかった.そこで今回,利き足の片脚スクワットにおいて有意な柔軟性の増大が認められるという仮説を立て検証した.

【方法】

対象は本研究に同意を得た10名 (男性5名,女性5名,平均年齢 (SD) 28.6 (7.8))の整形外科的・神経学的既往のない健常者とした.

対象者は利き足と非利き足で片脚スクワットを行う2つの運動を実施した.運動の順番は乱数表を用いランダムに実施した.利き足の決定方法は,片脚立位時間を計測し,片脚立位時間の長い方を利き足,短い方を非利き足とした.

片脚スクワットは,軽くベッドを把持し,膝蓋骨がつま先より前に出ないようにお尻を後ろに落としながら股関節を屈曲させその後立位に戻るスクワットを10回繰り返し行った.膝関節・股関節を屈曲する角度は,お尻が最も下に落とした位置を保てる程度とした.各運動の間は60秒の安静をとった.

FFDは運動前後に測定し,運動前のFFDの平均を基準値として差を求め指標とした.2群間の比較にはウィルコクソン符号付順位和検定を行った.有意水準は5%とした.

【結果】

各運動のFFD平均改善値 (SD) は,利き足スクワットは3.0 (1.9) ㎝,非利き足スクワットは2.0 (1.6) ㎝であった.ウィルコクソン符号付順位和検定の結果,非利き足スクワットより利き足スクワットのFFDに有意な改善が認められた (P<0.05).

【考察】

FFDは体幹伸筋群,ハムストリングス,腓腹筋の筋活動により コントロールされている.スクワットにおける柔軟性の改善は,利き足でのスクワットの方がより深く安定的にお尻を深く落とせるので,非利き足より脊柱起立の筋活動・股関節伸筋群の活動性が増大しIb抑制により股関節伸筋群のリラクセーションが生じ, FFDが改善された可能性が推察される.

【倫理的配慮】

本研究はヘルシンキ宣言に則り,対象者には研究の目的や方法について説明を十分に行い,書面にて同意を得て実施した.

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