日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: P - 21
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ポスター 15
オンライン運動教室を活用した通いの場の社会実装研究:SOFTプロジェクトの紹介
*髙橋 淳太兵頭 和樹川上 諒子野田 隆行大西 真衣山口 大輔西田 純世甲斐 裕子荒尾 孝
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抄録

【目的】

通いの場は地域包括ケアシステムの中核を担う場として全国的に展開されているが、「リーダーの養成が大変」、「リーダーの負担が大きい」、「活動内容のマンネリ化」などの課題が報告されている。そこで体力医学研究所 (体研)ではオンライン運動教室である「Slow Online FiTness (SOFT)」を開発し、2022年4月よりA市において通いの場への実装活動 (SOFTプロジェクト)を行っている。オンラインを活用することでプロの講師の指導を遠隔で受講できるため、リーダーの負担軽減や活動内容の質の担保がされ、通いの場の立ち上げや継続の障壁を低くすることなどが期待できる。また、オンラインで住民と自治体を繋げることで、両者が容易に連絡を取り合うことができる新たな地域基盤の構築になり得ると考えている。今回は当プロジェクトの概要や実装戦略、進捗状況について報告する。

【方法】

希望のあったグループに対し、SOFTのオンライン配信を提供している。通いの場では運営者がほぼ高齢者のため、インターネットやICT機器に対する不安を有している場合が多く、通いの場の立ち上げの障壁となっていた。そのため、①ICT機器の準備支援、②ICT機器の操作方法の習得支援、③SNSを活用した連絡網の構築、④一般的な通いの場の立ち上げ支援などをパッケージ化し、これを基に通いの場の立ち上げ支援を行うことを実装戦略の1つとした。その他にSOFTの配信や参加者の管理、事業運営などに関するシステムも実装戦略として整備を進めている。実際の通いの場への支援は、体研のスタッフ2名が中心となり実施した。

【結果】

2024年5月時点で35か所の通いの場が立ち上がり、SOFTを実施している。立ち上げ時には、事前の体験会や説明会を含め5回以内の支援で概ねのグループが自立しており、大きな混乱なく実装できている。また、SNSサービスを活用し、通いの場や関係所管を繋げるオンライン上の連絡網の構築も進めている。

【結論】

オンライン運動教室を活用することで、円滑な通いの場の立ち上げに繋がることが確認できた。また、高齢者にとってICT機器の取り扱いは敷居が高いと思われていたが、適切な支援を行うことで問題なくICT機器を活用できていた。今後限られた資源の中で効果的に通いの場を展開する新しい方略として、本プロジェクトの取組みが活用されることが期待される。

【倫理的配慮】

本研究は明治安田厚生事業団 体力医学研究所の倫理委員会の承認を得た (承認番号:2020-0001)

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